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生野菜と温野菜 栄養たっぷりなのはどっち? メリットとデメリットを栄養士に聞いた
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
健康維持のために、体の調子を整える栄養素が豊富な野菜は欠かせません。野菜は調理方法によって、栄養素の摂取量や吸収率が変わってきます。生で野菜を食べるほうが、たくさんの栄養をとれそうなイメージがありますが、そうとも限らないようです。8月31日は「野菜の日」。記念日に先立ち、生野菜と温野菜のメリット・デメリットなどについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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野菜の1日の摂取目標は350グラム
成人の場合、1日あたり350グラム以上の野菜を食べることが目標とされています。目安として、生野菜では広げた両手に山盛りいっぱいとかなりの量に。一方、ゆでた温野菜にすると、片手1杯分とかさが減ります。
生のまま食べたほうが損なわれない栄養素はありますが、熱を加えることで食べやすくなるものもあります。野菜によって含まれる栄養素に違いがあるので、生野菜と温野菜、どちらで食べるほうが良いとは一概には言えません。野菜不足にならないために、生野菜や温野菜それぞれの栄養メリットをいかして食べましょう。
生野菜のメリット・デメリット
サラダにできる主な葉物野菜は、生で食べることで、熱や水に弱い栄養素の損失を少なくできます。熱や水に弱いビタミンやミネラル、酵素、食物繊維などを温野菜よりも減らさず、栄養素を無駄なく摂取できる点が大きなメリットです。また、野菜のフレッシュさを味わえるところも生野菜ならではでしょう。
しかし、生野菜はかさが大きいので量をたくさん食べることが難しく、温野菜に比べて消化吸収が悪いといわれています。とくに胃腸が弱っているときに食べすぎると、体に負担をかけてしまうので注意が必要です。そのようなときは、すりおろしたりスムージーにしたりすることで効率良く摂取できます。同時に胃腸への負担もやわらげ、栄養吸収が良くなることも期待できるでしょう。
温野菜のメリット・デメリット
温野菜のメリットは、かさを減らして生野菜よりも量をたくさん食べることができる点です。また、熱を加えることで野菜がやわらかくなり、消化しやすく食べやすいでしょう。
ゆでたり炒めたりなど加熱することによって、損失する栄養素はありますが、吸収率がアップするものもあります。たとえば、緑黄色野菜に含まれるβカロテンは脂溶性であるため、生よりもゆで、ゆでよりも油調理のほうが、体内での吸収率が高くなるといわれています。
加熱での栄養素の損失を少なくするには、電子レンジを利用すると良いでしょう。また、スープにすると、水に溶け出した栄養成分も汁ごととれるのでおすすめです。
生野菜と温野菜を日々の食卓にいかそう
これからの季節は実りの秋を前に、夏野菜に加えさまざまな野菜が店頭に並びます。トマトやキュウリ、レタス、セロリ、ピーマン、パプリカをはじめ、キャベツやブロッコリー、カボチャやレンコン、大根などのほか、サツマイモや里芋などのイモ類。シイタケをはじめとするキノコ類などもおいしくなる季節です。
栄養バランスの良い食事のポイントは、主食(糖質)、主菜(たんぱく質・脂質)、副菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維など)をそろえることです。できるだけ多くの種類の食品を摂取することで、必要な栄養素をまんべんなく補給できます。生野菜と温野菜のメリット・デメリットを知り、食卓に上手に取り入れていきましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾