「今までにない動きの瞬間を表現」

　そんな同社の「社内製作コンクール」で今年、大きな話題と驚きの声をもたらした作品のモチーフはガトーショコラ。製作者さんによると、舞い落ちる粉砂糖の秘密は、割りチョコのタワーと粉砂糖の瓶の間に立てたクリアボードです。そこに、プラスチックの粉末を振りかけて、繊細な粉砂糖を表現しました。

「クリアボードを垂直に立てるための構造を考えるのに苦労しました。両側に自立した何かを置くのか、粉糖の瓶で支えるのか……。結果、全体をチョコレートの世界感にしたかったので、割りチョコタワーに行きついたのですが、構造的に弱かったため補強の柱をチョコレートタワー内部に仕込み、乗り切りました」

　さらに製作者さんは、苦労があっても今回の表現にこだわった背景を明かしてくれました。

「食品サンプルには、箸やフォークの持ち上げといった“動き”を表現したディスプレイがあります。そこで、粉砂糖が振りかけられている、まるで魔法の粉のような今までにない“動き”や瞬間を表現したいと思いました。見る人がおいしそうだと感じ、『食べたい！』と思ってもらえる作品に仕上げました」

　今回の大反響について、「とてもありがたく思っています」と謙虚に語った製作者さん。自分が大好きな食品サンプルにたくさんの人が興味を持ち、メッセージを伝えてくれたことにも感動したそうです。さらには「『一式欲しいです！』の言葉に、『あっ！　私は人の心を動かせる作品が作れたんだ！』」と、大きな喜びを噛み締めたといいます。

　今年のコンクール作品を含む同社の食品サンプルは10月20日（日）まで、鳥取県倉吉市の円形劇場くらよしフィギュアミュージアムで開催されている「おかわり！食品サンプル展」で展示中。リアルすぎる作品の数々を、間近に見ることができますよ。

（Hint-Pot編集部）