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「まだFAX現役なんですね!?」 “町の本屋さん”の一日のスケジュールに大反響 注目が集まった作業とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

書店での作業を紹介(画像はスクリーンショット)
書店での作業を紹介(画像はスクリーンショット)

 電子書籍やネットメディアの普及で、最近は書店から足が遠のいている人も少なくないでしょう。しかし、思いがけない本との出合いなど、書店ならではの魅力はたくさんあります。そんな書店を日々支えている書店員さんたちは、毎日どんな仕事をしているのでしょうか。X(ツイッター)では、書店の一日のスケジュールをわかりやすく表現した動画に、2万件の“いいね”が集まっています。投稿者の正和堂書店(@SeiwadoBooks)の小西さんに、詳しいお話を伺いました。

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「読書の楽しさや、その魅力をいろいろな形で伝えたい」

 話題の動画を投稿したのは、大阪市鶴見区にある創業54年の「正和堂書店」です。3代目の兄弟が家族経営する、いわゆる“町の本屋さん”ですが、普通の書店と違うところはそのユニークな取り組み。現在まで約70種類制作してきたという、文庫本用のオリジナルブックカバーが大人気で、SNSの総フォロワー数は20万以上に上ります。

「読書の楽しさや、その魅力をいろいろな形で伝えたい」という小西さん。Xに「町の本屋の一日!」と題した動画を投稿したところ、2万件の“いいね”を集め大きな話題になりました。

 動画には、店内の一角を駆け抜ける小西さんの姿が。「10時 荷出し、11時 新刊並べる、12時 昼食……」と、それぞれの作業で使うものを手にして駆け抜けていきます。こうして、午後10時の閉店までのルーティンを端的に紹介しました。

 なかなか知ることがない書店員さんのスケジュールに対し、リプライ(返信)には「まだFAX現役なんですね!? 体力と知力のお仕事、お疲れ様です!」「疾走感たっぷりで、店の中で吹いてしまいました! 動き回っているのが伝わってきます!」「私たちのためにありがとうございます 本屋さん本当大好きです」「本屋さんって大変なんやな」など、さまざまな声が寄せられています。

「まさかXで、こんなに大きな反響をいただけるとは」

 小西さんによると、この動画はもともとTikTok向けに制作したもので、Xで話題になったのは予想外のことだったといいます。

「当店のTikTokを見てくださっている方は10代が多いので、10代のみなさんに“町の本屋さん”を身近に感じていただければと思っていました。まさかXで、こんなに大きな反響をいただけるとは思っていませんでした」

 動画を制作する際、書店特有の業務内容をできるだけ多く盛り込みたかったという小西さん。ショート動画ということもあり、あえて走るテンポで制作しました。

「走る=忙しいと感じてしまった方も多いようです。日常の忙しさをアピールするつもりはなかったので、その点は少し工夫が必要だったなと思いました。本屋が『楽しい場所』に見えたらいいなと思い制作したのですが、感じ方は人それぞれなので、難しい部分もありますね」

尺の都合で省略したシーンも…

 また、とくに紹介したかった作業は「18時 FAX確認」でした。最近では、FAXがよく利用されているのは珍しいことだろうと思い、作りたいシーンのひとつだったといいます。

 一方で、省略した作業もさまざまあります。たとえば、付録合わせ(雑誌と付録を1冊1冊セットにする作業)やコミックスのシュリンク(透明フィルムの包装作業)です。こうした作業が書店内で行われているのを、知らない人も多いかもしれません。

 さらに、書籍や雑誌の返品作業は書店ならではの仕事のため、入れ込みたかったそうですが、尺を気にするあまりうっかり忘れてしまったのだとか。

 今回の動画で、小西さんの元には「本屋さんで働きたい」というリプライも届きました。それを見て、喜びを感じたそうです。「働いてもいいと思えるほど魅力的に感じていただけたのはうれしかったです」と語っています。

(Hint-Pot編集部)