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「自分たちのアイデンティティに誇りを持っている」 イタリア人が日本を絶賛する理由とは
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グローバル化が進み、さまざまな国の文化が入り混じるなか、ときに伝統的なものが淘汰されてしまうこともあります。しかし、3度の訪日経験を持つイタリア人は、日本は伝統を継承しながら進化できる国だと確信していました。日本のどんなところが、そう感じさせたのでしょうか。
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「超現代的なものと、古くて素晴らしいものがうまく共存」
これまでに3度の訪日経験があるという、イタリア人のジュゼッペ・ファジョーリさん。2008年に友人と1週間、初めて日本を訪れた際に「わずかな滞在でリアルな日本のことを理解するのは無理だと思いました」というほど強い興味を覚えたといいます。
翌年には3か月、日本に語学留学。さらに2012年には3週間、日本の友人たちに会うため再訪日しました。
留学中は東京で日本語を勉強し、その後訪れた関西では、同じ日本でも文化が異なるのを感じたと振り返ります。大阪が都市として持つ雰囲気を「都会だけど、接し方が東京ほどフォーマルではなく、オープンだと感じました」と話したジュゼッペさん。
京都については「大都市でありながらそう感じさせないのは、古くからある街だからかもしれませんね。新しくて超現代的なものと、古くて素晴らしいものがうまく共存していて圧倒されました」と、その魅力を語っています。
「好きなように変えて最高のものを作り出します」と柔軟さを称賛
ジュゼッペさんは、京都だけでなく、日本は古い歴史や伝統的な文化と現代的なものとを融合させるのがうまいと感心。「ほかに類を見ない、唯一の国」と絶賛します。
「日本人は、自分たちのなかに取り込むのがうまく、好きなように変えて最高のものを作り出します。たとえば絵画にしても、ほかの国の絵から影響を受けても、取り入れてから自分のものに変え、個性的で特別な絵にしてしまう」
古くは中国などから入ってきた絵画を「唐絵」と呼び、日本ならではのものを主題とした絵を「大和絵」とするなど、海外から多くのものを取り入れながら独自の文化を形成。また、逆のケースでは、日本の浮世絵が西洋画に大きな影響をもたらしました。
さらに明治時代になると、今度は浮世絵の影響を受けた西洋画が、日本の画壇に逆輸入されるといった現象も。ジュゼッペさんは日本の文化に触れるなかで、そうした海外文化を受け入れる柔軟性を持ちながら、伝統的なものを保ち続けるところに魅力を感じたようです。
「グローバル化が進んでも、日本は古いものをきちんと大切にして失わずに継承することが自然にできる、唯一の国だと感じます」と、ジュゼッペさんは日本を高く評価。柔軟さと独自性を持ちながら進化を遂げているとし、「自分たちのアイデンティティに誇りを持っている国です」と称賛しました。
ジュゼッペさんが最後に訪日してから12年。日本は昭和・平成のレトロブームで、古いものの良さを新鮮に楽しむことで盛り上がっています。ジュゼッペさんには、そんな今だからこそ再び日本を訪れてほしいですね。
(Hint-Pot編集部)