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秋バテを上手に乗り切る食事のコツとは? 意識したい栄養素3つを栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

バテやすい季節の変わり目(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
バテやすい季節の変わり目(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 長く続いた猛暑も落ち着き、秋らしい気配になってきました。夏の疲れが残るなかで気温が急に下がり、体調を崩しやすい季節でもあります。いわゆる「秋バテ」に悩む方も多いのではないでしょうか。季節の変わり目を上手に乗り切るための食事のコツを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

疲労回復や腸内環境を整える食が大事

 猛烈に暑かった夏のダメージが回復しないうちに、気温や湿度の変化が激しくなると、体が適応しきれず自律神経が乱れやすくなったり、体調不良を起こしやすくなったりします。「食欲の秋」といわれますが、バテぎみでだるく食欲があまりない日も。そういうときは、次の栄養素を含む食品を意識してとると良いでしょう。

 まずはビタミンB群です。糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素のエネルギー代謝に欠かせない補酵素で、エネルギー代謝を円滑に行ってくれる疲労回復に役立つ重要な栄養素。とくにビタミンB1は、エネルギーの主となる糖質をエネルギーに変えるため、秋に感じるだるさや疲労感を解消するのに不可欠な存在です。ビタミンB群を総じて多く含む食品は、肉や魚介類、卵、納豆や豆腐などの大豆製品、玄米、ナッツ類などです。

 また、食物繊維で腸内環境を整えることも大切です。免疫機能が向上し、疲れにくい体作りにつながります。イモ類やキノコ類、もずくやめかぶなどの海藻類、ゴボウやニンジンなどの根菜類など、食物繊維が豊富な食材を食卓に取り入れましょう。腸内の善玉菌を増やすために、納豆やキムチ、ヨーグルトなどの発酵食品もおすすめです。季節の変わり目の体調不良を防ぐ効果が期待できます。

 このほか、良質なたんぱく質も忘れずに。筋肉や内臓などのあらゆる細胞の修復、再生に欠かせない栄養素で、疲労回復においても重要です。体力低下によるだるさを防ぐためにも、たんぱく質を十分に摂取することが重要です。肉、魚、豆腐や納豆などの大豆製品、卵、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品などから摂取すると良いでしょう。

秋の味覚・サツマイモや山芋も食卓に

 秋の味覚も上手に取り入れましょう。サツマイモは食物繊維が豊富なので、腸内環境を整えるのに役立ちますよ。皮には、抗酸化作用や免疫機能向上が期待できるポリフェノールの一種、アントシアニンも含まれます。

 よく洗って皮ごと蒸したり、焼いたりしてそのまま食べるのはもちろん、スープやサラダに入れてもおいしいですし、冷やしてスイーツのように楽しむことができます。ビタミンCも多く、肌トラブルが気になるときにおすすめです。

 もうひとつ、山芋も秋が旬です。滋養強壮に優れた食材として古くから知られています。山芋のぬめりは、ガラクタンなどの食物繊維によるものです。ガラクタンは血糖値やコレステロールを調整し、生活習慣病の予防に役立つものとして注目されています。

 ほかに、疲労回復のビタミンB1やビタミンCも含まれています。アミラーゼと呼ばれる消化酵素がたくさん含まれているので、とくに糖質の消化を助けます。

 季節の変わり目は体調を崩しやすいですが、ビタミンB群、食物繊維、たんぱく質の3つの栄養素を意識し、秋の味覚も上手に取り入れて食から元気に過ごしましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾