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史上最も暑い夏が終わり季節の変わり目に 「秋バテ」はいつまで気をつけるべき? 医師が解説
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教えてくれた人:近藤 千種
厳しい残暑が続いた今年の夏。徐々に気温が低下し始め、過ごしやすい秋の訪れはうれしい一方で、急な気温差に体がついていかず、倦怠感や食欲低下など体の不調を感じやすい時期です。近年は厳しい残暑が長引く年も多く、いわゆる「秋バテ」が起きやすくなっています。そこで、原因や予防法、対処法などを、ちぐさ内科クリニック覚王山の院長で抗加齢医学会認定専門医の近藤千種医師にお伺いしました。
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自律神経の乱れが原因 頭痛や食欲低下など「夏バテ」によく似た症状が
「秋バテ」とは、夏の暑さがやわらぎ朝夕と過ごしやすい季節になってきたにもかかわらず、「夏バテ」によく似た体調不良が続く状態を言います。今年の6月~8月の平均気温は全国的に平年を大きく上回り、観測史上最も暑い夏になりました。猛暑により、体は知らず知らずのうちに疲労を蓄積しています。
その状態で、寒暖差や気圧の変化が大きい秋が到来し、自律神経が乱れることが原因で「秋バテ」は起こります。また、残暑で冷たい食べ物や飲み物をつい取りすぎてしまいがちに。それによって、胃腸の機能が低下することも原因のひとつです。
○秋バテの具体的な症状
・頭痛
・めまい、立ちくらみ
・疲れやすい、倦怠感
・食欲低下
・意欲低下
・不眠
・便秘や下痢
「秋バテ」は、単なる疲労からくるだるさと違い、便秘や下痢などの消化器症状や、やる気が出ない抑うつのような精神的症状まで、さまざまな症状が現れます。あまりに疲労や倦怠感が強い場合は、無理をせずこまめに休憩を取るようにしましょう。体を温め、水分補給をしっかりすることも大切です。もし、夏から秋にかけての季節の変わり目に体調不良が1週間以上続くときは、内科のかかりつけ医を受診することを検討してください。
「秋バテ」予防3つのポイント 高齢者はとくに注意を
最近は10月になっても真夏日があったり、台風が襲来したりと天候が安定しません。11月頃までは「秋バテ」に気をつける必要があると言えるでしょう。予防には3つのポイントがあります。
1. 規則正しい生活を心がける
自律神経の乱れを防ぐためには、体内時計をリセットすることが重要。毎日できるだけ決まった時間に起床し、太陽の光を浴びる習慣を作りましょう。また、バランスの良い食事を取り、夜はリラックスして過ごすといったメリハリのある生活を送ることが大切です。
2. 適度な運動を習慣づける
自律神経を整えるために、散歩やストレッチなどの軽い運動を習慣づけましょう。歩く、走るなどの運動にはセロトニンの分泌を促す作用があるので、抑うつ気分などの改善にもつながります。
3. 体を冷やさない
食事は温かいもの、飲み物も常温や温かいものを取るようにしましょう。また、入浴は39度~40度くらいのぬるま湯に、ゆっくりと浸かりましょう。副交感神経が優位になり、質の良い眠りにつながります。
秋バテに年齢は関係ありませんが、温度調節機能が低下し、水分不足になりがちな高齢者はとくに注意が必要です。高齢者は体調不良を自覚しにくいため、重症化してしまうことも。
また、「秋バテ」が重症化すると、排便異常が長期間続く過敏性腸症候群や、季節によって症状が出る季節性うつ病などにつながるおそれがあります。暑さが落ち着いたことで気をゆるめず、予防に努め、発症した場合は無理をしないようにしましょう。
(Hint-Pot編集部)
近藤 千種(こんどう・ちぐさ)
1971年生まれ、愛知県名古屋市出身。ちぐさ内科クリニック覚王山院長・抗加齢医学会認定専門医。10代からモデルとして活躍。33歳で医師を志し、その後わずか1年で帝京大学医学部に合格。医学生時代に日本スクーバ協会が主催する「ミスダイバー」コンテストで第9代準ミスダイバーを受賞し、GTレースクイーンやグラビアアイドルとして活動する。2013年に帝京大学医学部卒業、医師免許取得。現在は愛知県名古屋市内にて、ちぐさ内科クリニック覚王山院長として内科医だけでなく美容内科/美容皮膚科医としても活躍中。