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サツマイモの“細い根”は食べても大丈夫? 洗浄中に水が青や緑になる理由も 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
蒸しても、焼いてもおいしい秋の味覚サツマイモ。皮をむくべきか、むかずに皮ごと食べるべきか迷うことがあります。また、家でサツマイモを調理する際に、アク抜きは必要なのでしょうか? 10月13日は「さつまいもの日」。記念日にちなみ、サツマイモの皮むきやアク抜きについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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サツマイモの皮には栄養がたくさん
栄養を逃さない観点からいえば、サツマイモは皮をむかずに、皮ごと食べるほうが良いでしょう。皮には、抗酸化作用があるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」と「アントシアニン」が含まれています。
クロロゲン酸はコーヒーに多い成分で、脂肪燃焼を促進したり血糖値の上昇を抑制したり血圧を低下することで注目される成分です。アントシアニンは、ブルーベリーでよく知られている紫色素で、とくに目の健康に良いことで知られています。
そのほか、食物繊維やβカロテン、カルシウムも皮や皮近くに豊富にあります。日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基に、生100グラムあたりの数値を比較すると、食物繊維は皮なしが2.2グラムに対して、皮付きであれば2.8グラム。また、βカロテンも皮なしが28マイクログラムに対し、皮付きが40マイクログラム、カルシウムも皮なしは36ミリグラムですが、皮付きになると40ミリグラムです。皮をむかないほうが、栄養価が高いことがわかります。
食物繊維は、糖や脂質の吸収を抑えて血糖値の上昇を緩やかにしたり、悪玉コレステロール値を低下させたりする働きをするほか、腸内で善玉菌のエサになって腸内環境を整えるので便秘改善に効果的です。また、体内で必要時にはビタミンAになるβカロテンは、皮膚や粘膜を強くし免疫機能をアップ、骨の生成に不可欠なカルシウムは、骨粗しょう症予防が期待できます。
したがって、ポリフェノールや食物繊維、βカロテン、カルシウムなどの栄養メリットをたくさん摂りたい場合は、サツマイモの皮はむかずに、食べたほうが良いといえます。ただし、食物繊維は消化されないため、胃に負担がかかります。お子さんや胃腸が弱い方は、皮をたくさん食べないように気をつけてください。
皮から出ている細い根は食べてもOK?
皮ごと食べる場合、サツマイモの表面から出ている細い根が気になることがあるかもしれません。これは「ヒゲ根」と呼ばれるサツマイモの芽です。ジャガイモの芽とは違って、毒性があるわけではないので、食べても問題ありませんが、食感の良さを考えたら切ったほうが良いでしょう。ちなみに、サツマイモの表面のでこぼこは、このヒゲ根の跡です。
サツマイモは、皮をむく、むかないに限らず、調理前に水洗いしてください。土がついたままのサツマイモの場合、くしゃくしゃにしたアルミホイルを使うと、きれいに洗うことができます。強くこすりすぎると皮がむけて傷ついてしまうため、優しく洗いましょう。ヒゲ根の跡は汚れがつきやすいので、丁寧に洗ってください。
サツマイモの保管状況によっては、洗っていた水が青色や緑色になることがあります。これは皮に含まれているアントシアニンの色素なので、気にする必要はありません。ゆで汁も同様です。
サツマイモのアク抜きはマストではない
サツマイモのアク抜きは、えぐみや変色防止のために、調理前に切ったサツマイモを10~30分水に浸しますが、必ずやらなくてはいけないものではありません。栄養メリットでいえば、水に浸すことで水溶性のビタミンCやカリウム、食物繊維などは損失します。料理によってするかしないかを判断すると良いでしょう。
たとえば、天ぷらや煮物、きんとんやスイートポテトのようなサツマイモの色重視の料理にはアク抜きがおすすめです。一方、焼き芋やふかし芋などサツマイモの味わいを楽しみたい場合は、アク抜きをしないほうが本来の自然な甘みが引き立ちます。皮ごと食べれば、栄養メリットを損なわずに食べられます。
(Hint-Pot編集部)