カルチャー
「日本は本当に大変」 それでもイギリス人が日本で暮らしたい理由 日本人との意外な共通点も
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日本に住む外国人は、どんなところに惹かれて日本での暮らしを選んだのでしょうか。また、実際に暮らしてみて、どのようなことに感動したり驚いたりするのかも気になるところ。日本で6年間暮らし、帰国して再び日本へ戻ってきたという、イギリス人のティエゴさんに魅了された理由をお聞きしました。
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中学生のときに見た浮世絵がきっかけで日本に関心を持つように
日本に住んでトータルで7年ほどになる、イギリス人のティエゴさん。現在は、大学の英語講師、そして漫画家・イラストレーターとして働いています。
ティエゴさんが日本に興味を持ったきっかけは、中学1年生のとき、学校の美術室で浮世絵を見たことでした。葛飾北斎の作品に感銘を受け、夢中になって模写を繰り返したといいます。
その後、イラストやアニメに興味があったティエゴさんは、美術系の大学に進学。とくに冒険活劇が好きで、日本のジブリ作品にもハマりました。
「世界中のアニメが好きだけど、日本のアニメは特別です」
とくにジブリ映画の『もののけ姫』がお気に入り。魅力的なキャラクターが多く、メッセージ性を感じる壮大なストーリーに胸を打たれ、今でも大好きな作品です。
5年間の準備期間を経て、九州の熊本市へ移住
そんなティエゴさんが、日本を初めて訪れたのは、大学の卒業旅行のときでした。3週間ほど滞在し、新幹線を利用して、日本全国を旅したそう。
「当時は『こんにちは』や『ありがとう』といったあいさつくらいしか話せませんでした。でも、日本語をあまり話せなくてもみんなが心温かく接してくれたので、日本語を勉強し続けることにしました」
日本にいつか住んでみたい――ティエゴさんは熱い思いを抱きながら5年かけて、お金を貯め、日本語を勉強するなど、日本へ移住するための準備を進めます。こうして念願叶って日本で暮らし始めたのは、2016年のことでした。
ALT(外国語指導助手)として日本の小学校へ派遣されることになったティエゴさんは、九州の熊本市へ。そこで6年間過ごしました。
「食べ物もおいしくて住みやすいし、ビーチや森、火山といった自然もすごくきれいで大好きな場所です。それに人もすごく優しくて、本当の日本を感じました。このときの思い出は、一生の宝物です」
1日に何度も謝る日本人とイギリス人
熊本での暮らしを振り返り、ティエゴさんはイギリス人と日本人の不思議な共通点を見つけたそう。
「どちらもマナーをとても大切にしていることです。イギリス人も『プリーズ』や『サンキュー』といった、いわゆる“マジックワード”をよく使います。日本でいう『すみません』ですね」
ティエゴさんによると、イギリス人も日本人と同じように、1日のうちで何度も謝る傾向があるのだとか。熊本に住んでいた頃は、「すみません、通ります」「ごめんなさい」などと声を掛け合い、マナー良く通勤する日本人の姿が印象的だったといいます。そのことから、日本人はみんな礼儀正しいと思っていました。
しかし、現在暮らす東京では、そのイメージが変わりつつあります。満員電車では、信じられない光景を何度も見かけたというティエゴさん。とくにショックを受けたのは、背の高い会社員風の男性が小柄な女性にぶつかって転ばせてしまったものの、声をかけることもなく立ち去ってしまったことでした。
「勤務時間が長いうえに、毎日すし詰め状態の電車に乗って通勤していて、日本は本当に大変だなと思います。ストレスが多いなか、みんな仕事を頑張っています。ロンドンも似ていて、大都市は忙しなく、礼儀正しく振舞う余裕がないのかもしれませんが、少し悲しい気持ちになりました」
とはいえ、変わらず日本が大好きだというティエゴさん。漫画家として日本で活躍するという夢を追いながら、東京での暮らしを続けています。
○ティエゴさんのインスタグラム(turtletea_illust)
(Hint-Pot編集部)