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「やはり日本のサウナが一番」 ニューヨークで出会った男性が太鼓判 “駐夫”が感じた現地で求められていることとは
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涼しい秋は無理せずに楽しめる、サウナのベストシーズン。日本ではサウナブームに伴い、次々と新しい施設が登場しています。妻の海外赴任に伴い、アメリカ・ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第18回は、日米のサウナの違いについてです。
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エンターテイメント性が高いサウナだが…
日本ではしばらくサウナブームが続いていますね。自分もサウナが好きで、自宅近くの銭湯だったり、専門施設だったり、週に3回はサウナに通っていました。
「ととのう」という感覚が本当を味わえているかどうかは、さておき、仕事のストレスなどを解消するようなリラックスできる時間です。
妻の駐在に帯同することを決めたときも、ニューヨークに良いサウナがあるかどうかというのが、かなり高い関心事でした。
こちらに住み始めてからというもの、自宅のあるマンハッタンのみならず、ブルックリンや隣の州のニュージャージーまで、ベストのサウナを求めて探し回りました。そのなかでいくつかの施設にまあ良いかなと感じて、ときどき通っています。
ひとつは、1892年創業の「Russian & Turkish Baths」というロシア・トルコ系のサウナで、
浴室内でマッサージのサービスを受けることもできます。
もう一つは、高感度が高いニューヨーカーが訪れる「BATHHOUS」。おしゃれな空間で、日本でもお馴染みのロウリュウといわれるサービスもあります。ロウリュウとは、熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を上げ、その熱で体を温めるというもの。アロマ水などをかけ、香りを楽しむこともできます。
その蒸気をタオルなどであおぎ、熱波を回す人を熱波師と呼び、「BATHHOUS」にも熱波師がいます。ここの熱波師が、アップテンポな曲をスマートフォンから流し、ダンスをしながら風を送るのです。見ている分には楽しいのですが、正直、踊らずに風を送ったほうが、よく熱波が届くのではという気もします。
このサウナであるとき突然、音楽が止まってしまい、熱波師の方がスマートフォンで音を調整するため、仰ぐのを止めてしまったことがありました。するとその間に、お客さんが音楽の代わりに歌い出したり、「俺がやるよ」と熱波師の代わりに舞台に立ち、タオルで仰ぎ始めたりしました。
一体感もあり、エンターテイメントとしては、おもしろかったです。
日本人の繊細さはサウナにも宿る
しかし、なにかが違うといった感じがぬぐえません。先日、日本に一時帰国したときに、それがなにかに気がつきました。
繊細さです。
帰国するなり、以前によく行っていたサウナに足を運びました。2021年にクラウドファンディングでリニューアルした銭湯サウナ「松本湯」や、評判の良い池袋の「かるまる」など、また最近新しくできたサウナも回りました。
まずは清潔さ。休憩する椅子とサウナ室、水風呂との導線のスムーズさにも目を見張ります。温度設定が違う数種類の水風呂も、好みや体調に合わせて選べて快適です。そして、熱波師は熱を正しくお客さんに送ることに注力します。
すべてはお客さんのことを考えた繊細さなのです。
先述の「Russian & Turkish Baths」で、中国系の男性に声をかけられました。
「日本人だろ。なかなかベストなサウナはないけど、ここがニューヨークだとまだいいんじゃないかな」
その男性はかなりのサウナ通で、日本にも何度が訪れ、「サウナイキタイ」というサウナファンにはお馴染みのサイトも、チェックしているのだといいます。その彼いわく、やはり日本のサウナが一番だとのこと。
今、ニューヨークでは、レストランに限らず日本のテイストを取り入れたところが増えています。求められているのは、日本人の繊細さなのかもしれません。
(ユキ)
ユキ(ゆき)
都内の出版社で編集者として働いていたが、2022年に妻の海外赴任に帯同し、渡米。駐在員の夫、「駐夫」となる。現在はニューヨークに在住し、編集者、学生、主夫と三足のわらじを履いた生活を送っている。お酒をこよなく愛しており、バーめぐりが趣味。目下の悩みは、良いサウナが見つからないこと。マンハッタン中を探してみたものの、日本の水準を満たすところがなく、一時帰国の際にサウナへ行くのを楽しみにしている。