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「送られてきて助かった」 見落としがちな災害時のトイレ問題 在宅避難推奨の区が携帯トイレを配布した理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

見落としがちなトイレの備え

品川区が各戸へ配布した携帯トイレ【写真:Hint-Pot編集部】
品川区が各戸へ配布した携帯トイレ【写真:Hint-Pot編集部】

――いろいろな自治体で10月頃より、在宅避難の物資やカタログを各戸へ配布しているようです。品川区では在宅避難での必需品として、携帯トイレを1人20 回分、全区民に無償配布しました。

「在宅避難を続けるためには、水や食料の備蓄だけではなく、トイレに対する備えも重要になります。災害時、断水や下水道の破損などによってトイレが使えなくなる可能性があるからです。食事や水は少しの間、我慢できたとしても、排泄を我慢することはできません。

 自宅のトイレを無理に使用すると詰まって、汚物が逆流するなどのトラブルになるうえ、トイレが汚れて不衛生な状態だと、排泄物に含まれる細菌などから感染症を引き起こす可能性もあります。

 また、過去の災害では、トイレに行く回数を減らそうと水や食事を控えた結果、心身の不調や脱水症をまねいたり、持病が悪化したりするなどの健康被害が報告されています」

――水や食料など、さまざまな備えをしているなか、トイレが使えなくなることへの備えは、見落としがちかもしれませんね。

「災害時、トイレは大きな問題のひとつです。トイレに行く回数は1人1日5回といわれ、今回の配布では最低3日間、区民の皆様がトイレの問題に対処するため配布しました。

 また、携帯トイレがお手元に届くことで、区民の皆様に災害時の問題を知ってもらい、災害への備えを考え、行動するきっかけとしていただければと思います。区民の皆様が安心して避難生活が送れるよう、同封した『しながわ防災ハンドブック』も一読いただき、災害への備えを考え、行動するきっかけにもしてほしいです」

――配布後の反響などは、あるのでしょうか。

「Xでは、『買おうか検討していたときに送られてきて助かった』といったお声がありました。そのほか、災害時にトイレが使えない状況で、上階の住人が無理にトイレを使用してトラブルが起きる懸念をしていた方から、『啓発の意味で本当に良かった』などのお便りをちょうだいしています」

「温かい料理を食べることは、食欲増進やストレス緩和にも」

――在宅避難を視野に、一般的な飲料・食料品以外で備えておくと良いものを教えてください。

「災害時は、必要な物資がすぐに届くとは限りません。たとえばアレルギーをお持ちの方であれば、アレルギー対応食品が常に必要となります。ご自身に必要な備えをきめ細かく考え、備蓄していただくことが在宅避難でも大切です。

 ほかにも、電気・ガスが停止してしまうと、日常的な調理ができません。そんなとき、カセットコンロを備蓄していれば、お湯を沸かしてカップ麺などを食べることができます。温かい料理を食べることは、食欲増進やストレス緩和にもつながります。

 また、断水によって水が使えない状況になれば、食器などを洗うことができません。洗わなくて済むように、紙皿や割り箸等の備蓄、食器にラップをして使用するなどの工夫も必要になります。災害時は日常生活ができなくなることも考えて、備えることが大切です」

 人口が集中する都市部では、地域ごとに避難施設があっても、すべての住人を受け入れられるとは限らない面もあります。もしもの在宅避難に備えて、できる準備をしっかりしておきたいですね。

(Hint-Pot編集部)