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災害時の食の知恵 不足しやすい栄養素とストックすべき食品を栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

大切な災害時の備え(写真はイメージ)【写真:写真AC】
大切な災害時の備え(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 地震や台風、豪雨などの災害が発生すると、電気やガス、水道といったライフラインが停止したり、物流が途絶え食材の調達が困難になったりすることが考えられます。このような非日常の状況下にあっても、健康を維持するためには適切な食事が重要です。万が一のときも落ち着いて行動できるように、知識を持って食品をストックしておきたいですね。災害時に役立つ食の知恵について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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身の安全を確保したら次に大事なのは食

 災害が発生したとき、身の安全を確保したら次に重要になるのは「食」です。日常とかけ離れた環境では、とくに食事を確保できるかどうかが大きな課題になるでしょう。

 各家庭での食への備えという観点でいえば、ライフラインが停止する可能性があるので、水とカセットコンロなどの熱源は必需品です。水は飲料水や調理用水として、1人1日約3リットルは必要とされています。最低でも人数分の3日分、可能であればさらに余裕をもった量を備えておきましょう。そのほかペットボトルの野菜ジュースやスポーツ飲料、お茶などを備蓄しておくと便利です。

 災害時の食料備蓄というと、非常食として売られている特別なものを想像しがちですが、家庭では普段から親しんでいる食品をストックしておくことをおすすめします。日常的に食べているものであれば、いざというときにも安心感を持って食べられるからです。

 少し多めに購入して、古いものから使って新しいものを買い足す「ローリングストック」法や、災害時に役立つ簡単レシピなど、農林水産省は「災害時に備えた食品ストックガイド」を公開しています。これを機に確認してみましょう。

 ここでは、不足しやすい栄養素とそれを補う食品など、災害時の食の知恵について紹介していきます。

災害時に不足しやすい栄養素とは

 災害時は物流が滞り、肉や魚、野菜、乳製品などの生鮮食品が手に入りにくいうえ、手に入ったとしてもライフラインが止まっていて調理困難なことが予測されます。そのため、自宅避難ではおにぎりや菓子パンといった手軽に取れる主食、炭水化物が中心になりやすいかもしれません。もちろん、非常時は即効性の高いエネルギー源として重要ですが、これが何日も続くと栄養不足に陥り、体調不良につながってしまいます。

 したがって、災害時に不足しがちな栄養素には、ふだん生鮮食品から摂取しているものが挙げられます。具体的には、たんぱく質やビタミン、ミネラルです。

 とくに多くのビタミンやミネラルは、体内で合成することができないため、食事などから摂取する必要があります。たんぱく質は、筋肉などあらゆる細胞の原料でもあり、免疫機能をサポートする大切な働きをするので、災害時も摂取しておきたい栄養素です。