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「世界一清潔な国」のゴミ事情 キッチン横のダストシュートから部屋に入り込む虫に衝撃 移住で知った生活の知恵

公開日:  /  更新日:

著者:荒木 優里

分別必須の家庭ゴミ。日本では所定の場所に捨てるのが一般的(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
分別必須の家庭ゴミ。日本では所定の場所に捨てるのが一般的(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 海外での暮らしは、日本との文化や習慣の違いに驚くことがたくさんあります。とくに大きな違いを感じることのひとつが、ゴミの出し方です。今秋、夫の仕事で、アメリカからシンガポールへ移住することになった、フリーアナウンサーの荒木優里さん。新たな環境で発見した、日本との違いを綴ります。今回は、シンガポールのゴミ出し事情についてです。

 ◇ ◇ ◇

マンションの部屋に備えつけられたダストシュート

 フィラデルフィアとニューヨーク、約2年間のアメリカ生活を終え、今秋からシンガポールに住むことになりました。海外生活が続くという点では変わりないのですが、北米から東南アジアへ大移動。気候や文化、生活環境など大きな違いがたくさんあり、まずは慣れるのに必死です。

 これから、シンガポール生活での気づきや発見、日本やアメリカとの違いなどについて綴っていきたいと考えています。今回は、引っ越しの家探しのときから気になっていた、シンガポールのゴミ出し事情についてです。

 シンガポールでは、マンションやコンドミニアムでゴミ出しをする際、一般的にダストシュートを使います。ダストシュートとは、ゴミ捨て用の設備のことです。投入されたゴミはパイプ状のシューターを通って、建物内にあるゴミ集積所に運ばれる仕組みになっています。

 アメリカでもダストシュートを使っていましたが、フロアに設置された共有のものでした。しかし、シンガポールにはフロアごとではなく、各部屋にダストシュートが取りつけられている建物が多くあります。私が住んでいるマンションの場合、ダストシュートがあるのはキッチンの横。便利なものの、実はちょっぴりドキドキな毎日を送っています。

メリットがあればデメリットも

 ダストシュートのメリットは、なんといってもゴミ出しが楽なこと。ゴミ置き場まで持っていく必要がないので、部屋にいながら、24時間いつでもゴミ出しができます。シンガポールは高温多湿の気候なので、生ゴミを長時間、部屋に置いておきたくありません。毎食後、ゴミ箱に捨てる感覚で部屋の外にゴミを出すことができるのは、衛生的にとてもありがたいです。

 また、建物によってルールが違いますが、私の住むマンションでは、ゴミを分別せずに捨てることができます。生ゴミやペットボトル、プラスチックなどを一緒に捨てていいというのは、分別が徹底されている日本での生活からすると信じられず、とても驚きました。ただし、危険物やダンボールなどはダストシュートに投入せず、所定の置き場に持っていく決まりです。

 続いてデメリットは、虫です。ゴミ集積所に通じているパイプと部屋が、扉一枚でつながっているわけですから、虫がその隙間から部屋に入り込んできます。投入口を開けたときに虫が飛び出してくるというのは、よくある怖い話です……。

 私は扉を開ける時間を少しでも短くするために、投入口に引っかからないような大きさにゴミ袋をまとめてから、手早く捨てるのを徹底しています。今のところ虫に出合うことなく、便利に使えていて大変助かっています。

 気になっていろいろな人にお話を聞いたところ、さまざまな対策をしているようです。扉の内側や真横に虫対策グッズを貼りつけたり、二重扉にするために自分で板を張って、扉を覆う工夫をしたりする人も。また、扉の隙間にガムテープを貼りつけて封印してしまう家庭もあります。不便にはなりますが、そんな選択もあるのかと衝撃でした。

 また、シンガポールでは、ペストコントロール(害虫、害獣の駆除を行うための薬品散布)が定期的に行われています。煙から逃げるために虫がダストシュートから上がってくることも多いため、日程を確認して、その日はダストシュートを使わないという対策もありました。