仕事・人生
「ただ“ワイプで泣いていた人”みたいに(笑)」 テレ東・狩野恵里アナが「家、ついて…」で果たすオンエアされない役割
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テレビ東京の女性アナウンサー・狩野恵里さん(38歳)。過去に担当した「モヤモヤさまぁ~ず2」をはじめ、明るい笑顔と親しみやすい人柄が人気です。「Hint-Pot」編集部では年末年始に特別企画として狩野さんにインタビューし、全4回の記事を掲載。初回は、安定感ある進行が支持されているアナウンサーの仕事や、トレーナーを務めた後輩・冨田有紀アナについて伺います。
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放送されないアナウンサーの仕事
「アナウンサーって画面に出ていないときは、何をしているんだろう? ニュースを読む以外に、どんな命題がある仕事なんだろう? って、思っていました」と、学生時代やアナウンサーになった当初を振り返る狩野さん。しっかり経験を積んだ今だからこそ笑って話しますが、その答えを本当に理解できたのは「アナウンサーになって数年、経ってから」だといいます。
たとえば、2020年7月から担当し、2025年1月1日(水)午後4時55分~8時55分に4時間スペシャルが放送される「家、ついて行ってイイですか?」(以下、「家」)。放送では、笑ったり泣いたりする狩野さんは映っているものの、しゃべっている姿はほとんどオンエアされません。
「『家』は当初から10年以上、ビビる大木さんと矢作兼(おぎやはぎ)さんがMCをされていて、そこにゲストと進行の私というシンプルなキャストの番組」で、VTRを観ている出演者のワイプに映ったリアクション、スタジオでのコメントが放送されます。
視聴者から見ると「私はクレジットに出てくるけど、ただ“ワイプで泣いていた人”みたいになっていますよね(笑)」状態。収録はオンエアに合わせて編集され、狩野さんがしたゲストへの質問などは、ほぼカットされるからです。
「感情を出していいとリードするのが、私の役目」
アナウンサーの進行は、ゲストの話を引き出し、編集をしやすくするための「裏回し」だという狩野さん。そこに楽しみがあり、天職と感じているそう。
「出演者でありながら制作スタッフの役割を果たす、黒子なんです。私がした質問はカットされていても、その質問に答えるゲストのコメントが使われると『いい質問ができた!』とうれしくなるし、やりがいを感じます」
とくに「家」は、感情を揺さぶられるVTRが多く、出演者の素のリアクションが魅力です。ただ、慣れないゲストはどう反応をしていいのか、感情を露わにして大丈夫なのか戸惑うことも多いといいます。
そこで「感情を出していいとリードするのが、私の役目だと思っています」と、狩野さんは大木さんや矢作さんのMCを念頭に置きつつ、VTRを観ながら積極的に表情に出し、感想をコメント。ゲストが“こんなに気持ちを話していいんだ”と思える空気になると、「途中からはドップリ、VTRに見入っています(笑)」と明かしました。
生放送でニュースを読む報道番組と異なり、長時間収録のバラエティ番組などでは、こうした黒子としての進行がアナウンサーの仕事。オンエアでは観ることができない場面で、アナウンサーは状況に目を配り、出演しながら番組を縁の下で支えています。
まだ現場の経験が少ない新人アナウンサーは、番組収録を見学すると「こんなに、しゃべっているんですね!?」と驚くそう。その驚愕する姿は、入社当初の狩野さんが「出演していないアナウンサーは、何をしているの?」と思っていたのと、同じ感覚なのかもしれません。