からだ・美容
「加齢とともに鼻が大きく見える」のはなぜ? 原因と対策を専門医に聞く
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教えてくれた人:鬼沢 正道
鼻の肥大化を防ぐ対策とは
どれくらいの年齢から鼻の形状に変化が起こるのかについては、個人差が大きく、具体的な年代まで特定できません。しかし、20代から徐々に骨萎縮が始まるので、それに合わせて鼻の形状にも変化が起こると考えられます。
残念ながら、骨の形状の変化を止めることは難しく、一度大きくなった鼻は元の形に戻りません。鼻の皮脂腺の変化を防ぐような生活習慣を心がけると、鼻の肥大化を抑えることができるでしょう。
○鼻の毛穴の角栓やニキビを触らない
鼻の毛穴の角質やニキビを触ったり、セルフケアをしたりすると、皮膚組織が傷跡などで引きつれる瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)を起こし、団子鼻を助長する可能性があります。したがって、触らないようにしましょう。
○喫煙や食生活の乱れは厳禁
皮脂腺の詰まりや炎症を助長し、毛穴や角質トラブル、ニキビなどができやすくなります。喫煙はやめて、暴飲暴食をせずに、栄養バランスが整った食事を適量取るように心がけましょう。
○紫外線対策をする
鼻は顔の中心部に位置し、紫外線が当たりやすい部位です。紫外線は皮膚の老化を促進し、鼻が大きくなる要因のひとつとして考えられます。日焼け止めを塗るなど、日々の紫外線対策を行いましょう。
市販のノーズクリップで鼻翼を外側からつまむと形がきれいになるなど、話題に上がることがありますが、個人的な見解としては医学的な根拠に乏しいと感じています。効果があったとしても一時的なものです。長時間の使用は、逆に皮膚トラブルの原因になる可能性もあります。注意しましょう。
鼻の美容外科手術は十分な検討を
一般的に、アジア人の鼻は鼻翼が横に広く、鼻尖上部が上に出ているタイプが多く、正面から見ると鼻の穴が見えやすい形をしています。したがって、日本人はもともと、加齢によって鼻の穴が正面から見えるようになりやすいといえます。
鼻は顔の印象を大きく左右するパーツであるため、「若い頃と顔の印象が変わった」とか「歳を取った」という印象を抱かれるかもしれません。もし鼻の形状でお困りであれば一度、美容外科や形成外科の医師に相談してみると良いと思います。外科手術や、ヒアルロン酸注入などを検討する選択肢もあります。
横に広がった鼻の穴を縮小する「鼻翼縮小術」、低くなった鼻を高くする「鼻中隔延長術」、丸みを帯びた鼻をシャープに見せる「鼻尖形成術」、鼻筋を立てる「鼻プロテーゼ挿入術」などが代表的です。鼻は立体的な構造をしているため、理想の鼻にするにはこれらの手術を複合的に行うことも多々あります。
比較的に難易度の高い手術が多く、術者も熟練の技術が求められます。また、術後の腫れも強く、数週間ギプスを着用しなくてはならないなど、手術を受ける側も決して楽ではありません。せっかく手術がうまくいっても、そこに加齢性の変化が加わることにより後戻りをする可能性もありますし、そもそも手術費用が高額であるため、ハードルが高い施術のひとつです。
まずは生活習慣を改め、どうしても気になる場合は、十分検討したうえで医師に相談してください。
(Hint-Pot編集部)
鬼沢 正道(おにざわ まさみち)
美容外科医。1984年、茨城県出身。2020年、原宿に美容クリニック「アポロビューティークリニック」を開院。院長として、美容医療をメインにさまざまなジャンルの医療を提供するとともに、現在の医療の情勢や新技術などを患者さん目線でわかりやすく発信する活動を継続中。