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からだ・美容

髪のボリュームが減ってきた? 更年期症状の抜け毛や薄毛 体の内側からケアするには

公開日:  /  更新日:

著者:かみむら 佳子

更年期症状のひとつである抜け毛や薄毛(写真はイメージ)【写真:写真AC】
更年期症状のひとつである抜け毛や薄毛(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 更年期になると、それまでとは違った疲労感やメンタルの不調、ホットフラッシュ、老化など、人それぞれ程度は違いますが、心身ともに何かしら気になることが出てきやすいのかもしれません。更年期の女性の元気をサポートする、国際中医薬膳師のかみむら佳子さんによる連載。今回は、「抜け毛や薄毛」といった見た目の年齢を左右する髪の悩みについて、薬膳の知恵を紹介します。

 ◇ ◇ ◇

髪は「血」の余りでできたもの

 更年期世代の悩みのひとつとして、抜け毛や薄毛を気にする方も多いでしょう。原因としては、女性ホルモンの分泌量の減少が関係するといわれています。髪が細くなった、全体的にボリュームがなくなった、ハリやコシ、ツヤがなくなった、イメージをしている髪型にできない――など悩みは尽きません。加齢による女性ホルモンの低下には抗えませんが、健やかな髪でいるために、古くから伝わる中医学と薬膳の知恵を生かしてみてはいかがでしょうか。

 中医学では、髪は「血余」といって、全身に栄養や潤いを届ける「血」の余りでできたものという概念があります。そもそも更年期は、血が不足する「血虚」をはじめ、水や血などの潤いが不足する「陰虚」の状態になりやすい時期。余るほど十分な血がないので、髪に栄養が届かず細くなったり、ツヤがなくなったり、抜け毛になったりしてしまうのです。血が不足している場合は、髪の毛の不調以外にも肌の乾燥や目の不調、こむら返り、不安感や不眠などの影響があります。目安にしてください。

 また、髪の不調は血不足のほかに、「腎」の状態も影響すると考えられています。腎とは、内臓の腎臓だけでなく成長や発育、生殖、ホルモンなど生きていくうえで必要なエネルギーを蓄える五臓のひとつ。中医学では「腎が弱りは老化の始まり」。つまり、腎が丈夫でなければ髪も弱々しくなり、抜けることが多くなります。

血を補い、腎を強める黒や赤の食材を取り入れよう

代表的な黒と赤の食材【写真:かみむら佳子】
代表的な黒と赤の食材【写真:かみむら佳子】

 薬膳では、血の不足を補い、腎を元気にすることが髪の健康につながると考えます。血不足には黒や赤い色の食材、腎の養生には黒い色の食材を選び、日々の献立に生かしていきましょう。

 たとえば、黒ゴマ、黒豆、黒キクラゲ、プルーン、赤身の肉や魚、クコ、ナツメなどがおすすめです。黒ゴマなら、市販の黒すりゴマをごはんにかけたり、野菜のゴマ和えを常備菜にしたり、簡単に取り入れられるでしょう。いつも白ゴマを選んでいる場合は、ぜひ黒ゴマに変えてみてください。

 主宰する薬膳レッスンでは、黒ゴマと炒り黒豆の炊き込みごはんや黒ゴマの豆乳プリンのデザートが好評ですが、わざわざ作るのが面倒だという場合は、特別な手間は不要です。いつもの食事に黒や赤の食材をプラスしていくことを心がけていきましょう。

 心の持ち方も大切です。更年期で起こる抜け毛は、見た目にも関係してくるので悲観的になりやすいですが、薬膳的には「老化の進みを食い止めるサイン」と前向きにとらえます。血を補い、腎を丈夫にする食養生とともに、十分な睡眠を取り、体を冷やさず、ストレスを溜めないようにすることもポイントです。体のサインに気づき、早めに髪の養生をすれば老化防止につながります。

(かみむら 佳子)

かみむら 佳子(かみむら・けいこ)

大学卒業後、ハウスメーカーの営業職にて勤務後、28歳でフードコーディネータースクールに通い、アシスタントを経て独立。35歳で第2子流産後に続いた体調不良をきっかけに、薬膳を学び始める。「あなたスタイル薬膳RKazen」を主宰し、身近な食材で手軽に養生を実践する簡単薬膳や中医学の指導、セミナーなどで活動中。