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「私にとっては宝物」 イタリア人が47年間、大切にしている意外な日本のお土産とは
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旅先で手に入れたお土産は、眺めているだけで当時の気持ちがよみがえってくる大切なもの。47年前に訪日したイタリア人女性は、持ち帰ったあるものを封を開けずに保管しているそうです。彼女が「そこに書かれた日本語を見るたびに懐かしい気持ちになる」というお土産とは、いったいどんなものでしょうか。
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「こんばんは」が励ましの言葉に聞こえた
女優や歌手、小説家として活動しているイタリア人のフロリアーナ・ラ・ロッカさん。1978年に日本を訪れました。そのとき、歌手として静岡県熱海市で開催されたフェスティバルに参加。スポットライトを浴び、満員の観客の前で熱唱しました。
登壇する前に、ある言葉をかけられたというフロリアーナさん。おかげで緊張がほぐれ、何年経ってもその言葉が忘れられず、今でも感謝しているといいます。
「警備員の方が『こんばんは』と声をかけてくれました。それが私の地元、プーリアの方言『Cumba va(クンバ ヴァ=友よ行け)』に聞こえて、勇気が湧いたんです。大海を渡るような気持ちで飛び込んだら、最高のコンディションで歌えました」
持ち帰った十勝ワインは開けずに保管
フェスティバルに参加後、2週間ほど東京の高輪にあるホテルに宿泊して、観光を楽しんだフロリアーナさん。時間をかけて観光地をめぐり、さまざまなグルメを楽しみました。
なかでも気に入ったのが、日本のワイン。とてもおいしく、お土産として購入して持ち帰ったのだそうです。
「家にまだそのボトルがあります。1978年から開けないでとってあります。ボトルには日本語でいろいろ書いてあるので、懐かしい気持ちになりますね」
そういってフロリアーナさんが見せてくれたボトルには、「十勝ワイン」の文字が。国内では最初の、自治体経営によるワイン醸造を手がけた「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」の赤ワインで、その味にすっかり魅了されたといいます。
「決して開けないでとってあります。開けてしまったら、何か聖なるものが終わってしまうような気がするから……。私にとっては宝物の一本です」
日本での滞在を思い出しながら、やわらかな笑みを浮かべるフロリアーナさん。飲まなくても、眺めているだけで、日本での楽しい時間がよみがえるようです。
(Hint-Pot編集部)