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からだ・美容

更年期世代が気になる老廃物を溜め込みがちな冬 体を整えるために積極的に取り入れたい食材とは

公開日:  /  更新日:

著者:かみむら 佳子

更年期世代が溜め込みがちな老廃物(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
更年期世代が溜め込みがちな老廃物(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 年末からお正月にかけての暴飲暴食の影響で、気づけば体重が増加し、便秘などで溜め込みがちな更年期の方も多いはず。新陳代謝が低下する更年期は、体重が落ちにくく、溜め込んだ老廃物を排出する力も衰えています。そこで、食からリセットしてすっきりしてみてはいかがでしょうか。更年期の女性の元気をサポートする、国際中医薬膳師のかみむら佳子さんによる連載。今回は消化に関係する薬膳の知恵から、おすすめの食材を紹介します。

 ◇ ◇ ◇

薬膳の知恵を生かす 胃腸を整える3つの野菜

 薬膳では、食べすぎや飲みすぎ、ストレスなどで消化機能が低下して起こる消化不良、膨満感、便秘、胃もたれといった胃腸の不調を、「通利胃腸」の作用がある食材を使って整えます。「通利」とは流れが滞った状態を改善し、スムーズに通るようにするという意味。この作用を持つ食材として挙げられるのが、白菜、小松菜、チンゲン菜などの野菜です。

 白菜は冬に旬を迎え、鍋物に欠かせない食材のひとつです。薬膳においては、胃腸を整えて消化を促進し、豊富な食物繊維によって通便作用があり、消化不良や便秘を改善すると考えられています。

 小松菜は年間を通して売り場で見かけますが、旬は12月から3月頃です。寒くなることで甘味が増し、よりおいしくなります。薬膳では、大腸に働きかけて腸を潤し、豊富な食物繊維によって便秘や膨満感を改善する食材として期待されています。

 チンゲン菜の旬は、これから迎える春と秋頃です。薬膳において、消化不良の改善をはじめ、血行促進や心を落ち着かせる作用があると考えられています。とくに、ストレスなどで過食ぎみの胃もたれや、便秘になりがちな方におすすめです。

 これら通利胃腸の食材3種類を、日々の献立に加えてリセットしてみましょう。たとえば白菜は、生のままで食べるほうが老廃物の排出に効果的といわれています。利尿効果や便秘解消が期待されるワカメと組み合わせてサラダ感覚で食べると、さっぱりとしておいしいです。小松菜なら、通便作用もあるシメジと組み合わせた和えものはいかがでしょうか。また、チンゲン菜は、食物繊維が豊富でこれから旬を迎えるタケノコと一緒に炒め物にするのがおすすめです。

健康維持で大事な「気血津液」は消化から生み出される

 なぜ、胃腸をすっきりリセットさせることが大事なのかという点について説明していきましょう。

 薬膳の考えで、健康とは、体を構成するために必要な「気血津液(きけつしんえき)」のバランスが、過不足なく保たれた状態でいることをいいます。

「気」は生命エネルギーで全身の機能を支えて活動させる動力源、「血」は気と結びつき全身をめぐる体と心の栄養源、そして「津液」は体内の血液以外のすべての液体をいいます。細胞や組織に潤いを与えて、全身の機能がスムーズに動くようにするための潤滑剤のようなものです。

 これらは、飲食物を胃腸で消化することで生み出されると考えられています。したがって、胃腸をすっきりさせて消化機能の調子を整えていくことは、健康維持のために重要になるのです。

 養生をせず胃腸の不調を放っておくと、ほかのさまざまな不調につながります。たとえば、気の不足や滞りは疲労感、息切れ、イライラ、やる気が出ない、風邪をひきやすいなど。血の不足と滞りは顔色が悪い、不眠、不安感、動悸、冷え、肩こり、便秘などです。津液の不足や滞りは乾燥肌、口の渇き、こむら返り、関節痛、逆に過剰になるとむくみなどの不調が出てきます。こういった不調を起こさないためにも、消化を促進する通利胃腸の食材で食養生しましょう。

 胃腸の調子が整えば気血津液のバランスも整い、心も体も軽やかに。年末年始からの暴飲暴食やストレスなどの影響で、体重増加や便秘に悩む更年期の方がいれば今この時期に、できるだけ早く溜め込んだ老廃物をすっきりさせておくことをおすすめします。もうすぐやってくる春は、自律神経が乱れやすいシーズンです。健やかに過ごすためにも、いったんリセットしておきましょう。

(かみむら 佳子)

かみむら 佳子(かみむら・けいこ)

大学卒業後、ハウスメーカーの営業職にて勤務後、28歳でフードコーディネータースクールに通い、アシスタントを経て独立。35歳で第2子流産後に続いた体調不良をきっかけに、薬膳を学び始める。「あなたスタイル薬膳RKazen」を主宰し、身近な食材で手軽に養生を実践する簡単薬膳や中医学の指導、セミナーなどで活動中。