仕事・人生
「仕事がなくなるかも」スザンヌが明かす離婚と熊本での10年 高校再入学&起業は“子離れの準備”
公開日: / 更新日:

2015年の離婚発表後、東京での生活を離れ地元・熊本でシングルマザーとして一人息子を育てているスザンヌさん。熊本での生活も10年目を迎え、離婚当時1歳だった息子は11歳になりました。その間、自身も高校への再入学や大学進学、起業など、芸能活動だけではない新たなキャリアを積み重ねています。昨年には閉館した古い旅館を買い取り改修、再オープンの準備を進めるなど、タレントと社長業の二足のわらじで子育てを行うスザンヌさんに、再出発の地・熊本での10年を振り返ってもらいました。(取材・構成=佐藤佑輔)
◇ ◇ ◇
離婚後は東京を離れ、地元・熊本でシングルマザーとして一人息子を育てる
もう10年になるんですね……。当時は結婚したときに福岡に買った家と東京の2拠点を、行ったり来たりという生活をしていました。離婚が決まったときは東京で一人で子育てするか、地元に帰るかの2択でしたが、まだ子どもが小さかったので、私の中では東京で2人で暮らしていくというのは想像ができなくて。仕事は東京中心でしたけど、これはもう熊本に戻るしかないなと、流れに身を任せて帰ってきました。
地元に帰ってからの2~3年は、家を探したり、仕事で東京に通ったり、バタバタしながら生活の基盤を築いていった時間でした。同居ではなかったんですけど、両親や妹家族の近くにマンションを借りられて、子どもたちもいとこ同士で年齢が近く、本当にきょうだいみたいに育ってくれたのはすごくよかったなと思います。母も私と同じくらいの年齢のときに離婚して実家に帰っていたので、母からは「まるで私の人生を見てるみたい」「なんでうちの家系はみんな長続きしないのかしら」なんて言われました(笑)。
もちろん、お仕事がなくなるかもしれないという不安もありました。ただでさえどうなるか分からないのが芸能界、この先大丈夫かなという不安もあったけど、でもそれは東京に住んでいても、どこにいても一緒だなと思ったので。仕事のときは子どもを母や妹に預けて行くんですが、小学校に入るころまでは、東京での仕事もなるべく日帰りで帰ってきたり。だいたい月に2~3回、多くても4~5回とか、ずっとそのくらいの頻度で続けています。
帰った翌年には熊本地震があって、引っ越したばかりのマンションは半壊。買ったばかりのテレビも粉々になっちゃって。前震があったときは子どもを母に預けて福岡で仕事をしていて、「みんな大丈夫」と連絡を受けたので、そのまま広島に向かったら、夜中の1時くらいに本震があって。帰りたいけど帰る手段がなくて、翌朝どうにか福岡までは帰ったんですが、そこから高速道路も新幹線も動かない。普段なら1時間半くらいの道のりを、友達に6時間かけて送ってもらいました。見慣れた景色が全然違うものになっていて、「これからどうなっちゃうのかな……」という思いはありましたね。子どもはまだ2歳だったので、記憶はないみたいですけど。
子どもはめちゃめちゃ手がかかる子だったと思います。小学校1年生くらいまで一緒じゃないと寝られなくて。小さいときは「西日本一のマザコン」って言われていたくらい甘えん坊で(笑)。本当に「ママ、ママ」と常にくっついていないといけないくらいベッタリで、仕事で東京まで連れていっても、出番の30分だけでも離れたら大泣きというような感じでした。それがこの3~4年で急にお兄ちゃんになって、最近は逆に私が毎日LINEしてる。十分甘えたのかな……自分でも、目いっぱい甘やかしたなと思います。
34歳のとき、母校に再入学という形で高校生になりました。小学校に入った子どもから「なんで勉強しないといけないの?」と聞かれて、私も勉強をしてこなかったから答えられなかった。社会のことを何も知らなくて、芸能の世界ではそれがたまたまお仕事につながりましたけど、芸能以外で手に職があるわけでもない、勉強ができるわけでもない自分に何ができるんだろうと。ちょうどコロナ禍で、東京に出る仕事はなくなったけど、その分リモートでできることもたくさんあると分かった時期。高校は中退していたんですけど、先生が単位を残しておいてくれていて、リモートでできる授業もあると聞いて、もう一度勉強してみようと思ったんです。
子どもはいつまでもママが一番じゃない。だんだん手が離れてきて、そのうち友達が一番になったり、彼女が一番になったりするわけじゃないですか。そうなったときのために、自分も新しい夢とか目標を見つけておかないといけないなと。ずっと2人でやってきたからこそ、子どもが新しい世界に進むときに「ママはママでやりたいことがあるから、気にせずほっといていいからね」と言える関係でありたい。今取り組んでいる勉強や起業は、自分を高めるためでもあるけれど、子離れというか、子どもがひとり立ちした後に向けた準備期間だと思っています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・佐藤 佑輔)