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茶たくは持ち上げて飲む? ティーカップと混同しがちなマナー 湯のみ茶わんで飲むときの正解は

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

訪問先で出されたお茶(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
訪問先で出されたお茶(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 訪問先で出された温かいお茶。口をつけないほうが良いのか、また口をつけたとしても少し残すのがマナーなのか迷うことがあるかもしれません。また、フタ付きの湯のみ茶わんで提供された場合、外したフタの扱いに戸惑うことも。意外に知らない、訪問先のお茶にまつわるマナーについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

相手の心遣いに感謝して飲む

 お茶を出されたら、積極的に飲むのがマナーです。せっかく相手が時間をかけて自分のために出してくれたもの。むしろ残すほうが失礼にあたるといえます。相手の思いに感謝しつつ、飲みましょう。

 出されたお茶は飲み干さずに、少しだけ残したほうが上品という声も聞きますが、相手の心遣いを考えたら、そうは言えません。やはり残さずにいただくほうが良いでしょう。出されたお茶を全部飲むことがマナー違反にあたることはありません。

 口をつけるタイミングは、相手に勧められてからのほうがスマートです。お礼を言っていただきます。もし会話の流れで飲むタイミングを逸してしまったら、帰り際に席を立つ前に「せっかくなのでいただきます」と言ってから、飲むと良いでしょう。

 熱そうだからと、フーッとお茶に息を吹きかけて冷ますのはNGです。熱そうであれば、少し時間をおきましょう。必要以上に大きな音を立てずにいただきます。

湯のみ茶わんのフタの扱い方とは

 マナーとして気をつけたい点は、湯のみ茶わんの扱い方です。湯のみ茶わんはうっかり手が滑って落とさないように、利き手で持ち、反対の手は底に添えて持って口元に運びます。さらに背筋を伸ばして飲むと格好良いでしょう。

 フタつきの湯のみ茶わんで出されたときは、フタを真っすぐ上に持ち上げないでください。内側の水滴がこぼれて、テーブルが濡れてしまう恐れがあります。

 コツとしては、利き手ではない手を茶碗に軽く添えながら、利き手でフタのつまみを持ち、フタの手前側をゆっくり開けます。茶碗の縁に沿わせるようにフタを少しずらしていきましょう。そうすることでフタの内側についたしずくが茶碗の中に落ちます。ゆっくりと開けるのがマナーです。

 外したフタは、つまみ部分を下、内側を上にして、茶碗の脇に置きましょう。つまみの先端が丸くて転がりそうなときは、茶たくの下に挟むと安定します。

 茶碗の下にある茶たくは、持ち上げません。そのまま湯のみ茶碗だけを持ってお茶をいただきます。フタをそのままにして退室する人がいますが、飲み終わりや帰る際には、フタは最初に出された状態に戻すのがマナーです。

ペットボトルの場合、持ち帰るのは失礼?

 今は、出先でペットボトルの飲み物を出される機会も多いと思います。量が多いので、その場ですべて飲み干さなくても問題ありません。

 飲み残した場合は、帰り際に相手から「お持ち帰りください」と言われるのが一般的ですが、言わなければ、こちらから「いただきます」と言って遠慮なく持ち帰りましょう。そのほうが相手の片付けの負担も減らせますし、お茶も無駄になりません。

 マナーとは、相手を思いやった振る舞いを意味します。お茶を勧められたらおいしくいただき、離席時には改めて「ごちそうさまでした」や「ありがとうございます」など、相手への感謝の気持ちを示すと良いでしょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾