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「まじですごい」43歳で奨学金完済の男性が大バズり 苦節20年…生活厳しく「親戚からお金を借りて支払ったことも」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

春から奨学金の返還が始まる人も…。Xでは約20年かけて完済した男性が話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】
春から奨学金の返還が始まる人も…。Xでは約20年かけて完済した男性が話題に(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 経済的な理由から奨学金を受給する大学生が増えています。しかし、卒業後にはその返済が長年にわたり重くのしかかり、生活や人生に影響を与えることも少なくありません。43歳の幸田直樹(@Naoki_Kouda)さんは、総額288万円の奨学金を借り、約20年の返済期間を経てついに完済を迎えたことをネットで報告し、大きな話題になりました。長年の経験から感じた奨学金制度のメリット、デメリットはどんなことなのでしょうか。詳しい話を聞きました。

 ◇ ◇ ◇

総額288万円の奨学金を借りて国立の静岡大へ進学した

「43歳。奨学金を全額返済しました。頑張ったのでフォロー、リポスト、褒め褒め等是非ともお願いいたします。カツカツで厳しい時も毎月毎月返済してきました。やっと終わりました」

 1月27日、幸田さんがXに奨学金の返済完了証の画像を添えて投稿すると、11万件を超える“いいね”が殺到。「まじですごい」「返済のご苦労どれだけ大変だったかと思います」「奨学金ってこんなに長い期間返し続けなきゃいけないんだ…そりゃ少子化進むわなぁ…」「毎月16800円でしたって書いてあるけど、私毎月高校の分と合わせて3万弱返してもまだ終わらん」「うちもあと270万、残り10年」「日本人の優秀な人材にこそ、返済不要の奨学金をお願いしたいです」など多くの声が寄せられました。

 大学卒業から約20年。その道のりは長く、険しいものでした。

 幸田さんは総額288万円の奨学金を借りて国立の静岡大へ進学。もともと裕福な家庭ではなく、大学受験も静岡大1校しか受験できない状況だったといいます。

「奨学金がなければ大学進学は難しく、借りる以外の選択肢はありませんでした」

 返済は社会人になってから始め、毎月の給与から月額1万6800円を引き落とす形で行いました。特に大変だったのは、結婚し、家族構成が変わった後で、「子どもが生まれ、最も厳しい時期には親戚からお金を借りて支払ったこともあります」。節約しながら、なんとか家計をやりくりしてきたそうです。

 ただ、返済をやめたいという気持ちはなかったと言います。

「大学生活を支えてくれたお金ですので返すのが当然という感覚でした」

 大学ではエンジニアリングを学び、その経験が卒業後の自身のキャリア形成に大いに役立ちました。「大学を卒業したことで有名企業に就職できました。その後、独立した後もプログラミングの知識が今の自分を支えてくれています」と語ります。現在は高IQ団体『METIQ』の代表を務めるなど活躍し、「AI顧問事業の拡大(AIによるコスト削減)、高IQ団体の代表としてギフテッド教育に挑戦していきたいと考えています」と、未来への展望を語りました。

 投稿は大きな反響を呼び、奨学金のあり方にさまざまな議論が交わされました。

「社会人人生の大半が支払い期間でしたので、解放されてとてもすっきりした気持ちです」と改めて心境を吐露した幸田さんは、奨学金制度の必要性を説く一方で、問題点も指摘します。

 近年、奨学金の返済負担が学生や卒業生に重くのしかかり、未払いのケースも発生しています。物価高や社会保険料の値上がり等で国民の生活は苦しくなっており、「外国人支援よりも日本の未来を担う若者たちを支援してほしい。現在も私のように返済で苦労している人は多くいます。日本国民を対象とした返還不要の奨学金制度の充実を願います」と幸田さん。また、国立大の授業料が上がり続けている現状に対しても、「日本の未来のために上げるべきではないと考えます」と強調しました。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)