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奨学金返済を結婚後に打ち明けた妻 夫は家計から出すのを拒否 夫婦カウンセラーの見解は
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ
夫婦のライフプランを形成するうえで、互いの支出を把握することは大切です。そこでネックになるのが、学生時代に借りた奨学金。独立行政法人日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査結果」によると、なんらかの形で奨学金を利用している学生は、なんと49.6%に上るそうです。今回お話を伺ったのは、奨学金をめぐって離婚問題に発展しているという30代女性。夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんがアドバイスします。
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奨学金の返済があることを夫に相談せず結婚
東京都在住の泉川ほのかさん(仮名・31歳)は結婚2年ですが、つい先日、夫から離婚を突き付けられてしまいました。その原因となったのは、大学進学のために借りた奨学金。以下は、ほのかさんのお話です。
私は子どもの頃から東京の有名大学に憧れがあり、1浪を経て東北地方から上京しました。交際費やスマートフォン代などはアルバイトで稼ぎ、家賃や光熱費など生活費の月12万円は両親に負担してもらう形に。学費は奨学金でまかなうことにしたので、大学4年間で計500万円ほどを借りることになりました。
その後、都内の企業に就職し、毎月2万円を奨学金の返済に充てることに。生活費を支払いながら2万円を支払うのは正直つらかったです。でも、奨学金のおかげで東京に出てこられたようなものなので、「月2万円で夢が叶ったんだから安いもの!」と思っていました。
28歳のときに婚活アプリを通じて6歳年上の夫と知り合い、翌年、入籍しました。結婚に伴い、私は退職。奨学金の返済については、夫に伝えていませんでした。
その後、夫と結婚式について話をしているとき、「結婚式にお金を使うくらいなら、残りの奨学金を全部返してしまいたい」と言うと、夫は驚いた顔で「借金があるなんて聞いていない」と言い出したんです。私は奨学金が借金だとは思っていなかったので、「借金じゃないよ? 奨学金だよ?」と返すと、夫は呆れたような表情を浮かべました。
そして、奨学金は自分自身で返すよう言われ、再就職をすすめられました。結婚したら、奨学金は家計から出すものだと思っていましたが、まさか夫が払ってくれないとは……。返済し終えるまでは、子どもも考えられないと言われています。奨学金の返済は、家計費として認められないものなのでしょうか。
一つひとつ整理して考えることで道が見えてくる
夫婦カウンセラーの原嶋さんによれば、ほのかさんのように、奨学金が夫婦間の溝を広げる原因となる例は少なくないといいます。では、彼女は今後、どのように動くことが得策なのでしょうか。
「奨学金は制度を利用した本人に返済義務が生じるものなので、ほのかさん自身が返済するほかありません。もちろん、夫が返済に協力的な場合、家計から出すことに問題はありませんが、今回の場合は難しいでしょう。婚前に奨学金があると話していなかったことで、今は夫からの信頼が地に落ちた状態です。離婚をしたくないのであれば、ご自身で返済していく方法を考えなければいけません。
夫が生活に関わる費用を出してくれている今が、まさに奨学金の返済どきでは? と思います。そうして『自分で責任を持って返済する』という姿勢を見せることで、夫の心が軟化する可能性も。場合によっては、残りの返済をサポートしてくれることもあるかもしれません」
※25日15時40分に記事の一部を修正しました。訂正してお詫びします。
(和栗 恵)