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「日本はあまりにも自国の学生に厳しい」 奨学金を完済した女性の訴え 3.6万件の“いいね”集まる

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

莫大なお金が必要な日本の大学教育(写真はイメージ)【写真:写真AC】
莫大なお金が必要な日本の大学教育(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「奨学金の返済が完了しました。長かったなぁ」。先日、Xに投稿された日本学生支援機構の返還完了証の写真が大きな話題となっています。投稿したリフレ女子(@antitaxhike)さんは、「特に働き出してすぐのころは毎月の返済が重荷でした」と長い道のりを振り返り、奨学金について「正体は学生ローン」と述べています。リフレ女子さんに詳細を聞きました。

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毎月の返済が重荷 悪循環を解決すべき

 リフレ女子さんが日本学生支援機構の奨学金を借りた理由は「家庭の経済的環境により、大学進学のためには奨学金を借りる必要があったため」といいます。日本の教育投資がOECD諸国に比べてかなり低い状況となっており、奨学金を利用する学生が増加していることが度々議論されていることを背景に、この投稿については多くの反響がありました。

「昔は借りていなかったのに今は借金をして社会に出ていく」と現状を嘆く人もいれば、「無利子で返済期間も長い」と同機構の奨学金を肯定的に捉える人もいます。この点についてリフレ女子さんは「そもそもポストした『完了証』に書かれている金額は『貸与額』と『“返還”額』であり、この2つが同額になるのは無利子・有利子関係のないことで、見る人の間で多くの誤認が生じていると感じました」としたうえで、「たとえ低利であったとしても学びのための資金に公的機関が利息を徴収するということ自体に私は疑問を持っています」としています。

 学費が無償である北欧諸国と日本を比較する論調もありますが、「北欧のすべてが正しいとは思いません。そもそも国家規模が違いすぎます。大学は義務教育ではないので無償化が必要とも考えていません。一方で、東大生の親の年収は1000万円以上の層が最多で実に42.5%にのぼるというデータもあるように、高等教育が富裕層だけのものになるのは誤っていると思います。塾に行かなければ良い大学に行けない、良い大学に行かなければ就職で不利、といった悪循環は解決する必要があり、そのためには、給付型奨学金の拡充もさることながら、公教育の充実が必要不可欠と考えています」と指摘しました。

 今回の投稿には3.6万件の“いいね”が付きましたが、疑問視する声もあったといいます。「無利子・有利子問わず返済を要する貸付は『ローン』であり『奨学金』ではない、ということを言ったまでです」とリフレ女子さん。続けて「私は幸運にも大学へ行き、就職し、今は困らない生活ができていますが、それは私がひとえに幸運だっただけのことです。もちろん努力はしましたが、誰でも努力はしています。私が今回最も残念に思ったのは、『将来有望な人にだけ金を出すべき』といった批判や反論が非常に多かったことです。誰が将来有望な人材なのか、判断できる、あるいは判断して良い人など果たしているのでしょうか」と問題提起しています。

 最後に現在の大学について聞くと「日本の大学は『入学すること』が目的になっていて学生が学んでいないという批判があるのは百も承知ですが、それは大学制度の問題であり、奨学金の議論とは少し違います。日本の博士課程修了時には300万円以上の借入がある学生が実に17%にのぼるとの調査結果もあります。欧米では博士課程は給料をもらって行くところというのが主流で、『科学技術立国』をうたう国としては、わが国はあまりにも自国の学生に厳しいと感じています。奨学金制度は、1人でも多くの人に学びの機会を与える制度であってほしい」と結びました。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)