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「悲しい気持ちになったけれど、とても尊い」 イタリア人夫妻が日本で「行かなければいけない」と思っていた場所とは
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日本には26件の世界遺産(2025年2月現在)があります。見どころが多い日本で、とくに訪日外国人の心を掴んだものとは何なのでしょうか。約10年前に夫婦で日本を訪れたというイタリア人は、「とても悲しい」思いをした場所で、忘れられない体験をしたといいます。いったいどこへ足を運んだのでしょうか。
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市民ボランティアに歓迎されたことも思い出
イタリアの伝統あるペルージャ大学で、教授を務めているアントネッラ・ドメニチさん。今から約10年前、夫のマッシモさんとともに日本を旅行しました。24日間滞在し、東は東京、西は広島まで、日本各地をめぐったといいます。
旅のなかで一番意義があると感じたのは、広島での体験でした。広島駅に到着すると、たくさんの若いボランティアに歓迎されたというふたり。多くの外国人観光客が訪れる広島市では、2013年から「ひろしまおもてなし隊」という市民ボランティアが活躍しています。
広島駅構内で外国人観光客の案内を行っており、アントネッラさんたちも彼らの手助けを受けて、まずはホテルへ。その後、最も訪れたかったという、平和記念公園へ向かいました。
そして、広島平和記念資料館を見学。想像以上の凄惨さに、ふたりは言葉を失います。それでも「知ることは大事なこと。とても悲しいけれど、真実を知ることは重要」と、英語の音声ガイダンスを利用して、じっくり時間をかけ展示を見て回りました。
「この経験には価値があり、とても尊い」
アントネッラさんには、そこでとても心に残った出来事があったといいます。それは原爆被害者の方の実際の声を聞けたことでした。
「広島で出会った女性のことが忘れられません。被爆者となり、生き延びた人でした。私たちの近くへ来てお話を聞かせてくれたんです。悲しい気持ちになったけれど、この経験には価値があり、とても尊いと思います」
マッシモさんも、これに同意します。
「広島は、行かなければいけない場所だと思います。人類がこんな残忍なことをしたなんて……。原爆を受けた人、それで亡くなった人々、その人たちの声を聞くために広島に行きました。広島は、とても多くのことを教えてくれる街でした。人々がとても親切で、真摯に話をしてくれました」
広島での経験を神妙な面持ちで振り返ったアントネッラさんとマッシモさん。世界では今も、戦争をしている国や地域があります。ふたりは広島を知り、改めて世界の平和を祈りました。
(Hint-Pot編集部)