Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

「3人に1人」は悩んでいる? 男女ともに多い意外な病気 痔の原因や対策を医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:鈴木 隆二

実は女性がなりやすい痔(写真はイメージ)【写真:写真AC】
実は女性がなりやすい痔(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 いまや「3人に1人は痔に悩む」といわれるほど、痔は日本人にとって身近な病気のひとつ。男性がなるイメージがありますが、実は女性のほうがなりやすい傾向にあるようです。おしりのトラブルは、恥ずかしさから相談しにくいこともあるかもしれませんが、放置しておくと悪化する可能性もあります。女性と痔について、原因や対策などを、消化器外科専門医で医療法人社団筑三会の鈴木隆二理事長に伺いました。

 ◇ ◇ ◇

痔とは? 大きく分けると3つある

 痔とは、肛門周囲の血管や粘膜、皮膚に異常をきたし、炎症や痛み、出血などの症状を引き起こす疾患です。大きく分けると「いぼ痔(痔核)」「切れ痔(裂肛)」「痔ろう(肛門周囲膿瘍)」の3種類があります。

○いぼ痔
 肛門周辺の静脈がうっ血して腫れたもの。いぼ痔のなかでも、肛門の外側にできるものを「外痔核」、内側にできるものを「内痔核」と呼びます。内痔核は痛みが少ないですが、外痔核は強い痛みを伴う場合も。

○切れ痔
 硬い便による肛門の傷。出血は少なめですが、痛みが伴います。切れ痔が慢性化してしまうと肛門が狭くなり、排便が困難になることも。慢性化してしまった切れ痔は手術が必要になります。

○痔ろう
 下痢などが影響して、細菌感染によって肛門周囲に膿が溜まる病態。直腸と肛門皮膚がトンネル状につながってしまう病気です。がん化する可能性もあるため、注意が必要です。また、薬での治療ができないため、手術が必要になります。

女性は便秘が原因で、いぼ痔や切れ痔になりやすい

 女性が痔になる主な原因は、便秘です。ホルモンバランスの変化やライフステージによる体の変調もあって、女性は便秘になりやすい状況にあります。そのため、排便時のいきみによって肛門に負担がかかり、さまざまな年代でいぼ痔や切れ痔になる傾向がみられます。

 たとえば生理前には、黄体ホルモンが分泌されて体に水分が蓄積されるので、便の水分量が減少します。その結果、便が硬くなり、便秘につながります。更年期はホルモンバランスの乱れや筋力の低下によって腸の動きが鈍くなり、慢性的な便秘に悩む方も少なくありません。こうした便秘によって肛門への負担が増し、痔を発症しやすくなります。

 妊娠・出産期は、ホルモンバランスの変化や胎児による腸の圧迫で腸の動きが弱まり、便秘が起こりやすくなります。さらに、妊娠中は肛門周囲の血流が悪くなりがちです。出産時の強いいきみは肛門に直接大きな負担をかけ、痔を発症する原因となることもあります。