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「これってカビ?」 タケノコの“白いつぶつぶ”の正体 食べても大丈夫か栄養士に聞いてみた
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教えてくれた人:和漢 歩実

春が旬のタケノコ。水煮などは通年出回っていますが、これからの季節は「新筍」と呼ばれる新鮮なタケノコが店頭に並びます。下ゆでしたタケノコや水煮をカットしてみたら、節の間に白い結晶のような粒が付着していたことがあるかもしれません。「これってカビ?」と考えてしまいますが、食べても平気なのでしょうか。タケノコについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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アミノ酸の一種が白く固まったもの
タケノコの切り口についた白い結晶状のものはカビではなく、うま味成分のチロシンというアミノ酸の一種です。加熱によって溶け出し、冷めると固まり、白くつぶつぶとした状態でタケノコの節の間に溜まります。肉質がやわらかいものほどチロシンの含有量が多く、結晶化しやすい傾向があるといわれています。
チロシンは近年、自律神経や脳の活性化に関与する働きが注目されている成分です。白い粒がついたまま食べても体に害はありませんが、見た目が気になる場合は洗い流しましょう。または、5分ほどゆでると固まったチロシンが溶けて湯に流れ出すので、取り除くことができます。
タケノコから酸っぱい匂いがしたり、表面にぬめりがあったりする場合は傷んでいる可能性があるので、食べないようにしてください。
丸ごと購入したらすぐにアク抜きを
白い粒のチロシンは取り除かなくても問題ありませんが、タケノコをおいしく食べるために、アク抜きは欠かせません。タケノコのアクには、結石の原因であるシュウ酸が含まれています。また、チロシンが酸化したホモゲンチジン酸もアクとなり、えぐみのもとに。皮つきを買ってきたら、すぐにアク抜きしましょう。
アク抜きは、一般的にぬかと唐辛子を入れた水から火にかけます。その理由は、ぬかのカルシウムがシュウ酸やホモゲンチジン酸に作用し、えぐみを抑えてくれるためです。また、唐辛子のカプサイシンには、タケノコ特有の匂いをやわらげ、殺菌作用で腐敗を防ぐ働きがあるといわれています。
皮つきのまま行うほうが、やわらかく仕上がります。弱火でゆで、やわらかくなったら火を止めて、そのまま冷まします。冷めたら皮をむいてフタつきの容器に、なければ深めの器に入れてラップをし、タケノコを水と一緒に入れて冷蔵庫で保存しましょう。毎日水を替えながら、風味が落ちないよう、1週間程度を目安に食べ切るようにしてください。
栄養や選び方、部位ごとの食べ方とは
タケノコは不溶性食物繊維が豊富で、整腸作用があり、便秘予防に役立ちます。また、カリウムも多く、塩分の排出を促し体内の水分バランスを保つので、むくみ予防にも期待できるでしょう。ただし、消化が良くないので、胃腸の弱い人はよく噛んで食べてください。
春に店頭に並ぶ皮つきタケノコを選ぶ際は、色に注目してください。穂先が黄色、根元が白色、皮が薄茶色のものが新鮮です。穂先が緑色、根元が茶色、皮が茶色がかっているものは、時間が経って、えぐみも強い傾向にあります。
部位ごとに食感が違うのも、タケノコの魅力のひとつです。先端のやわらかい部分は和え物や炊き込みごはん、中央部は煮物や炒め物、揚げ物にするとおいしく食べられます。繊維が多く硬い根元は、細めに切って使うと良いでしょう。旬のおいしさを堪能したいですね。
(Hint-Pot編集部)