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「切らずに立てて」 アスパラガスをゆでるコツ 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

春から夏にかけて多く出回るグリーンアスパラガス(アスパラガス)。鮮やかな緑色の見た目と独特の食感が特徴で、和洋中さまざまな料理に合います。おいしいだけでなく、アスパラギン酸やビタミン類などの栄養成分もたっぷりですが、下ごしらえを間違えると、これらの栄養メリットを逃してしまうことも。ゆで方や皮のむき方のコツなどを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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栄養豊富なアスパラガス 「立てて保存」がおすすめ
さまざまな栄養成分が含まれているアスパラガス。なかでも代表的なものは、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸です。名前の通り、アスパラガスから発見された成分で、疲労回復や滋養強壮の働きがあることで知られています。
また、毛細血管を丈夫にし、動脈硬化や高血圧の予防効果が期待されるポリフェノールの一種であるルチンも豊富です。
このほか、ビタミン類や食物繊維もたっぷり。ビタミン類では「造血のビタミン」と呼ばれる葉酸、コラーゲン生成に必須のビタミンCに加え、必要時に体内でビタミンAに変換され、鼻や目の粘膜を保護し免疫機能を維持するβカロテンなどが含まれています。食物繊維は水溶性、不溶性の両方があり、血糖値の急激な上昇やコレステロール値を抑えたり、腸内環境を整え便通を促したりすることが期待できます。
そんな栄養満点のアスパラガスを保存する際は、立てることをおすすめします。横に寝かせて保存すると、穂先を起こそうとして栄養成分を消耗してしまうためです。
むいた皮にも同等の栄養がある きんぴらにしても
調理する際は、まず水洗いをしましょう。とくに穂先やハカマの部分は汚れがつきやすいため、丁寧に水で洗い流すことが大切です。ハカマとは、表面についている三角形のひらひらした部分です。
アスパラガスの根元近くの皮は硬く、筋っぽさが口に残ることもあります。下処理として、根元の硬い部分は切り落としましょう。さらに、根元から3~5センチほどの皮をピーラーでむくと、食べやすくなります。皮を全部むく必要はありません。
皮やその周りにも前述の栄養成分が含まれているので、できるだけ薄めにむくのがポイントです。ピーラーを使って上(穂先側)から下(根元)に向かって引くと、スムーズに皮をむけます。むいた皮は捨てずに、きんぴらや炒め物の具材に活用すると無駄なく食べられます。
ハカマにはアスパラプチンという成分があり、血圧上昇を抑える働きがあるとされています。必ず取り除く必要はありませんが、苦味があり、食感も良くありません。気になる場合は、ピーラーでそぎましょう。
ゆでる際は「切らずに立てて」がポイント
アスパラガスをゆでる際は、「切らずにゆでる」ことがポイントです。先に切ってからゆでると、その切り口から水溶性であるビタミンCや葉酸、食物繊維などの栄養成分が流失してしまいます。栄養を無駄なくとるためには、できるだけ長いままゆでることをおすすめします。
また、「立ててゆでる」ことでおいしく仕上げることができます。硬い根元部分を先に鍋に立てて入れ、20~30秒ゆでてから、全体を倒してさらに1分ほどゆでましょう。根元と穂先の硬さが均一になります。ゆでたあとは水にさらさず、キッチンペーパーの上などに置いて冷ましましょう。
水溶性の栄養成分をできるだけ逃さず、やわらかくしたいときは、電子レンジ調理もおすすめです。アスパラガスをカットして耐熱皿に並べ、少量の水を入れたらラップをふんわりとかけて加熱します。根元部分と穂先部分で硬さが異なるので、加熱時間を調整してください。
春の味覚の代表でもあるアスパラガス。無駄なく上手に調理して、旬の恵みを味わいたいですね。
(Hint-Pot編集部)