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「捨て猫は犯罪です」猫の遺棄に保護猫カフェが怒り、警察介入も 安易な保護ができない切実事情
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「捨てた人間は絶対特定してやるので覚悟してください」。厳しい言葉で猫の遺棄を非難する内容の投稿がネット上で拡散、物議を呼んでいます。投稿者は愛知・豊川市で保護猫カフェ「tormenta」を運営する益田凌平さん。野良猫の保護活動を行う同店では、個人からの引き取りは受け入れていないものの、店の前に捨て猫が一方的に押し付けられる形で遺棄されていたといいます。背景には、捨て猫の保護が運営の大きな負担となっているという事情も……。「tormenta」オーナーの益田さんに、投稿に込めた真意を聞きました。
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動物愛護法では、愛護動物の遺棄は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられている
「拡散希望 朝からお店の前に捨て猫ですか。捨てた人間は絶対特定してやるので覚悟してくださいね フォロワー様へ 大変申し訳ないのですが拡散頂けますと幸いです 犯人さん、24時間猶予をあげます。捨て猫は犯罪です。営業妨害や各種民事訴訟されたくなければお早めに名乗り出てください」
段ボール箱に入れられ、上から洗濯ネットを被せられた状態で放置された捨て猫。今月5日、猫の遺棄に対する強い憤りをつづった投稿には、6.6万件のリポスト、17万件もの“いいね”が集まるなど、大きな反響を呼んでいます。投稿には「なにこれ、ご丁寧にネットに入れて身動きとれなくして段ボール?」「まだ外は冷えるのに…酷いですね…」「なんか大事に飼われてた感じはあるので、悲しいですね」「心が痛いです」「託すにしても直接頭下げにきて欲しかった。こんな丸投げじゃ猫ちゃんが可哀想すぎる」など、さまざまな反応が寄せられています。
保護猫カフェ「tormenta」は2019年12月にオープン。国からの助成金のない民間の猫カフェで、保護猫団体と連携して殺処分間近な地域の野良猫を引き取り、猫カフェとして営業を行う傍ら、行き場のない猫たちを譲渡につなげる活動をしています。一方で、個人からの引き取りには一切応じておらず、このような遺棄は経営に大きな影響を与えるといいます。
「うちは個人事業主なので、猫たちのエサ代や医療費は全額自腹。猫の寿命は15年から20年で、生涯の飼育費用は1匹あたり200~300万円にもなると言われており、捨て猫はその分の費用を一方的に押し付けられることに等しいのです。それだけでなく、他の猫に病気がうつったり、営業停止処分になるリスクもある。今回の件でも、防犯カメラの増設や消毒費用だけで、すでに数十万円の損害が出ています」
動物愛護法では、犬や猫などの愛護動物の遺棄は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられています。今回のケースでは、警察の捜査やSNSの情報提供をもとに、すでに犯人を特定。遺棄された猫は現在、マイクロチップの情報などを読み取るため警察の方で一時預かりされており、犯人に然るべき処分が下った後に、管理委託という形でtormentaが引き取る予定だといいます。
今回、あえて強い言葉で猫の遺棄を非難した理由について、益田さんは「一度でも捨て猫を保護してしまうと、ここに行けば保護してもらえると思われて、たちまち猫捨て場になってしまう。捨て猫は犯罪だということがもっと周知されることを望みます」と話しています。
【益田さんが運営する保護猫団体の寄付金口座】
GMOあおぞらネット銀行
うみ支店(301)普通 2709285
マスダ リョウヘイ
※4月8日17時40分に記事の一部を修正しました。訂正してお詫びします。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)