カルチャー
「ここはとても心地いい」アメリカ人が日本の餃子店で驚き カウンターに座って思い出した『深夜食堂』
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桜が満開の季節になり、外国人観光客がいつも以上に日本のあちこちで見られるようになりました。外国人は有名な観光スポットだけではなく、地元の住民しか行かないようなディープな場所を求めています。4回目の来日を果たしたアメリカ人のハリウッド映画監督ドン・ハリスさんは、ランチに訪れた店の雰囲気がいたく気に入ったとのこと。詳しい話を聞きました。
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挑戦するのは初めて 日本人の“ソウルフード”を称賛
米ロサンゼルス在住のハリスさんは自身3作目の映画『The Mad Batter』(邦題は未定)を制作中です。公道での自動車レースの危険性を訴えるストーリーで、すでに脚本は完成。高い評価を得ているそうで、クランクインの準備を進めています。
昨年も桜のシーズンに日本にやってきました。訪れるたびにさまざまなスポットへと足を運び、花見の文化にもすっかり慣れた様子です。
「2日間は雨で室内にいましたけど、オーケーです。桜の写真はもうたくさん撮りましたね。目黒川の桜も見に行きました」と笑顔で話します。
東京スカイツリー周辺をドライブしたり、大好きなハーレーダビッドソンの店舗を見学したりと、思いのままに東京観光を楽しみました。
そんなハリスさんが、今回の来日で初体験したのが、ローカル食への挑戦です。
ランチに訪れたのは、JR総武線「亀戸駅」から徒歩1分の路地にある「亀戸餃子本店」でした。
1953年創業の老舗で、ファンの多いギョーザの名店です。
その店構えは一見の外国人が入店するには、いささかハードルが高いと感じるかもしれません。
ランチ時にのれんをくぐると、カウンターを囲むように座るのは日本人ばかり。注文する前からギョーザが出てくるシステムも、仕組みを知らなければ混乱しそうです。
ハリスさんは、ギョーザを食べるのも初めてでした。
しょうゆに酢、ラー油を入れ、マスタードをつけてパクリ。その味は……?
「とてもおいしいね」
続いて、瓶ビールで喉を潤します。偶然好きな銘柄だったようで、「アサヒは私にとってナンバーワンのビール。気に入ったよ」と日本では定番の組み合わせを称賛しました。
発祥の中国では水ギョーザが主流。外国人観光客にとっては、ラーメンほど有名ではないものの、ギョーザも日本人の食文化を感じることのできる一品です。地域によって具の中身や焼き方が変わり、さまざまな“ご当地ギョーザ”のバリエーションがあります。
さらにハリスさんは思いもよらない点にも注目しました。
「私はローカルで小さい場所が好きです。テレビ番組の『ミッドナイトダイナー』(深夜食堂)は知っていますか? ネットフリックスで見ました。こんな感じの小さい店だった。ここは雰囲気がそっくりだし、とても心地いいです」
映画やテレビ番組に精通するハリスさんですが、『深夜食堂』は日本を訪れたことのあるアメリカ人の友人から紹介されたそうです。ギョーザに舌鼓を打ちながら、「アメリカにはないタイプのドラマです」と、魅力を語りました。学生時代はレストランでコックとして3年間働いた経験もあり、ローカル色の強い店内を好意的に受け止めました。
ギョーザを焼く音、香ばしい匂い、むだのない接客、熱々のギョーザをおいしそうに頬張る客の表情……。確かに食欲が進むことは間違いないですね。
地元の人に愛される店は、ハズレがありません。
日本での思い出に新たな1ページを加えたハリスさんは、「また来年もこの季節に訪れたいです」と満足そうに結びました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)