海外旅行の際には、事前にその国の情報を確認し、現地の文化に合わせて行動するよう心がけている人も多いでしょう。ただ、長年日本で暮らしている習慣で、うっかりしてしまうことも。X（ツイッター）では、礼儀正しい日本人ゆえに“不思議”と感じられているフランス人の疑問が、9.4万件もの“いいね”を集め話題になっています。投稿者のサキ（@inlaforet）さんに詳しいお話を伺いました。

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「真っ直ぐ、右、左」など日本語も理解するベテラン運転手さんが…

　フランスで哲学を学ぶため、大学入学を機に渡仏したサキさん。現在、パリにある大学に通い、修士課程の2年目だといいます。普段は地下鉄（メトロ）を使って移動していますが、誕生日にレストランで食事したあと、特別な日ということもあり、帰宅するためにタクシーを利用しました。

「せっかくだから運転手さんといろいろ話そうと思い、運転手さんの経歴を聞いたり、自分の身の上話をしたりしたのです」と、会話も弾んだそう。

　運転手さんは、たくさん海外の観光客と接しているベテランで、「真っ直ぐ、右、左」といった日本語も少し知っているほど、日本人観光客にも慣れている様子。そんな運転手さんが目的地に近づいた頃、思い出したように投げかけた、日本人への素朴な疑問が、今回の投稿につながりました。

「タクシー運転手のおじいちゃんが『日本人は大人しくて礼儀正しいんだけれど、車のドアを閉めてくれないんだよー！』と言っていたので『日本では自動で閉まるんですよ』と教えておいてあげた」

　投稿に多くの人が反応し、9.4万件もの“いいね”が集まりました。リプライ（返信）には、「なんなら『ドアの開閉はドライバーにお任せください』『危ないので触らないで』とまで書いてあったりしますね」「そうか大半の国は手動ですよな……」「日本だと閉めようとしたら怒られますからねw」などの声が殺到。

　また、「ほんまごめん。癖が抜けなくて　悪気はない」「『あ、開かないんだ』と待ってしまうのはよくありますが、そう思った直後なのに閉めるのを忘れるなんて、習慣は怖いですね」といった、海外で“やらかした”記憶から納得する人たちも。

　さらには「日本人はトイレを流してくれないんだよー！　って言われる時代も来そう」と、自動洗浄機まで付いた日本の高機能トイレを例に、心配の声も上がりました。

日本のタクシーとの違いを知った運転手さんは…

　たくさんの反響について、サキさんは「『日本だとドアを閉めると怒られる！』みたいな声が多かったのが印象的でした。日本で閉めると怒られるのだから、海外でもついそうしてしまうのは仕方ないと思いました（笑）」とのこと。

「海外から見た日本人“あるある”として、おもしろい視点だな」と感じたそうで、パリ観光に来る日本人が、フランス人ドライバーから迷惑に思われないよう、ちょっとした注意喚起を兼ねて投稿したと明かします。

　日本のタクシーについて説明された、運転手さんの反応が気になりますが「『そうなんだ、便利だね』みたいな感じ」で、大きなリアクションはなかったそう。タクシー以外にも、自動ドアがあちこちにあるという話題に発展したといいます。

　フランスでの生活で、「日本が特別なんだな」と感じることを聞くと、サキさんは日本のおもてなし意識の高さを挙げました。たとえば、日本ではレジ係の人は、立ちっぱなしで丁寧な接客をしますが、フランスでは全然違うといいます。

「フランスだと座りっぱなしで、他のレジの同僚と大声でおしゃべりしていることも普通です。商品を袋に詰めてくれることもなく、ただスキャンをするだけ。このタクシーの例もそうですが、フランスはむしろ利用者側が、サービスを提供してくれる側に少し気を遣うようなところがあります。あいさつとか、『ありがとう』と言うとか、ちょっとしたことですが、日本から来る人は気をつけたい点かもしれませんね」

　日本の便利さや接客に慣れているがゆえに、行き違いが起きそうな面も。「郷に入っては郷に従え」で、気をつけたいですね。

（Hint-Pot編集部）