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春キャベツは内側まで洗ったほうが良い? 揺らぎやすい更年期にうれしい栄養がたっぷり おすすめの食べ方を栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実

春キャベツがおいしい季節です。ようやく価格も落ち着いてきて、手に取りやすくなってきました。甘みがあり、生でも加熱してもおいしいキャベツは、更年期世代の女性にとってもうれしい栄養がたっぷり。効率良く生かすためには、どんな食品と合わせて食べると良いでしょうか。キャベツの食べ方について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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更年期世代にうれしいキャベツの栄養とは
キャベツは色が淡いことから「栄養が少ない」と思われやすいかもしれません。しかし、ビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養成分が含まれています。
代表的な栄養成分は、キャベジンとして知られるビタミンUです。胃粘膜の修復に関わり、荒れた胃の粘膜を正常に整える働きが期待されています。
また、美肌には欠かせないコラーゲンの生成に必要なビタミンC、骨や歯の成分のほかに神経や筋肉を正常に保つ働きのあるカルシウム、そのカルシウムを骨に沈着するのを助け、骨を丈夫にする働きがあるビタミンKもあります。
このほか、体内の余分な水分や塩分を排出し、むくみや高血圧に良いといわれるカリウムも含みます。
更年期は、加齢や女性ホルモンの減少により、胃の不調、骨密度の低下、むくみ、ストレスや疲れなど、さまざまな不調を感じやすくなります。これらの体の変化を穏やかにサポートするためにも、キャベツに含まれる栄養成分を生かしたいところです。
葉は調理直前に、切る前に水洗いする
キャベツの栄養を逃さないために、心がけておきたいことは、まず水洗いの仕方です。水で洗うと傷みやすくなるので、調理する直前に洗うのがポイントになります。
外側の数枚の葉を洗ったら内側は洗わずに使う人もいるかもしれませんが、とくに巻きがふんわりとしている春キャベツはしっかり葉を洗って使ってください。成長過程で中に土やホコリが入り込んだり、虫や虫のフン、死骸、卵などが付着していたりする可能性があります。
また、時短調理として千切りなどカットしてから、水を張ったボウルに入れて一気に洗う方法がありますが、切り口から水溶性の栄養成分が流出して、栄養メリットが減ってしまいます。たとえば、ビタミンCやビタミンU、カリウムなどです。葉を1枚ごとに丁寧に水洗いしてから、切ることを心がけましょう。
キャベツの食べ方、組み合わせたい食品とは
栄養メリットをしっかり取り入れるためには、調理法や食べ合わせも大切です。栄養を逃さずいただくために、おすすめは生で食べること。前述の通り、キャベツには水に溶けやすい有効成分があり、加えてビタミンCやビタミンUなどは熱に弱い成分です。春キャベツはやわらかく甘みがあるため、サラダにするのが適しています。
ただし、加熱して食べることがNGということではありません。カサが減って、食べやすくなるメリットがあります。汁ごといただくスープやみそ汁の具にすると良いでしょう。しんなりさせたい場合は、ゆでるよりも電子レンジを活用すると、栄養の流出が抑えられます。
更年期世代がキャベツと合わせたい食品は、シラスやサケ、イワシ、サバなどの魚介類です。カルシウムやビタミンDが豊富で、キャベツのビタミンKと一緒に骨の健康をしっかりサポートしてくれます。
貧血が気になる場合は、鉄の吸収を促進するビタミンCの特性を生かし、鉄を多く含む食品と合わせると効果的です。ヒジキや小松菜、厚揚げ、納豆などのほか、動物性の食品に多く、吸収率が高い「ヘム鉄」と呼ばれる鉄が多いアサリ、マグロやカツオの赤身魚、レバーなどもキャベツと良い組み合わせといえるでしょう。
胃もたれがするなど胃腸が弱りがちなときは、肉料理にキャベツを合わせると、消化の助けになります。とんかつなどの揚げ物にキャベツの千切りが添えられることがありますが、理にかなっています。
春キャベツがおいしい季節。栄養を上手にいかして体の内側から整え、揺らぎやすい更年期を乗り越えていきましょう。
(Hint-Pot編集部)