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キャベツはどこまで洗えばいい? 気をつけることや保存のコツを栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

キャベツの葉はどこまで洗う?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
キャベツの葉はどこまで洗う?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 生でも加熱してもおいしいキャベツ。これからの季節は、葉がやわらくてみずみずしい春キャベツも店頭に並びます。葉が球状になっているので、内側の葉をどこまで洗ったらいいのか迷うところです。キャベツの洗い方や気をつけるべき点を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

春のキャベツは内側の葉に虫が入り込んでいる可能性も

 キャベツは成長の過程で球状になる野菜です。最初に育つのは外側の葉、次に出てくる葉はその内側という順序のため、内側の葉が農薬や土などに触れることはないと考えられています。したがって、キャベツを1玉丸ごと購入した際、外側の数枚の葉を洗ったら内側は洗わずに使う人もいるでしょう。

 とはいえ、内側の葉にまったく汚れがついていないかというと、そうとは言い切れません。成長過程で内側に土やホコリが入り込んだり、虫や虫のフン、卵などが付着していたりする可能性があります。

 とくに、春キャベツは巻きがふんわりとしていて、やわらかくて甘く、虫にとってもおいしい野菜です。外側だけでなく、内側の葉も洗ってから使うと安心でしょう。

切ってから洗わないことが栄養を逃さない基本

 キャベツは水で洗うと傷みやすくなります。そのため、調理する直前に洗うのがおいしく味わうポイントです。芯の周辺に切り込みを入れ、葉を一枚ずつはがして両面を流水で丁寧に洗い流します。洗い終わったら、水分をしっかり取りましょう。

 時短調理で、まずキャベツを千切りなどにしてから、水を張ったボウルに入れて一気に洗う方法がありますが、2つの“デメリット”が挙げられます。

 ひとつは、ボウルの中の水に出た汚れが再びついてしまうこと。もうひとつは、キャベツに含まれる水溶性の栄養成分が切り口から流出し、減ってしまうことです。キャベツに含まれる、抗酸化作用がありコラーゲンの生成に必要なビタミンCや、胃潰瘍予防に期待できるキャベジン(ビタミンU)は水溶性です。栄養メリットをとりたい場合は気をつけたいポイントになります。

 キャベツは「切ってから洗わない」、手間でも「調理する直前に一枚ずつ洗う」ほうがいいでしょう。

キャベツを日持ちさせる保存のコツとは

 キャベツ1玉を丸ごと購入しても、すぐに使い切れないと心配になるかもしれませんが、保存しだいで長持ちします。基本は、買ってきたらすぐに芯の部分をくり抜いて成長点を止め、湿らせることです。

 キャベツは芯部分に成長点があり、芯が残ったままだと葉の栄養分が失われて、みずみずしさも少なくなります。芯をくり抜いた部分には水で濡らしたキッチンペーパーを詰め、袋に入れて芯部分を下にして、冷蔵庫の野菜室で保存すると日持ちします。

 丸ごとのままで芯をくり抜くのが難しい場合は、半分に切ってから芯部分を切り取るといいでしょう。その場合も、芯部分に水で濡らしたキッチンペーパーを詰め、さらに切った断面を水で濡らしたキッチンペーパーで覆い、袋に入れるかラップでぴったりと包んで野菜室で保存します。

 1玉ではなく、半分や1/4にカットされたキャベツを購入した際も、同じ方法で保存すると日持ちします。また、くり抜いた芯にはたっぷりの栄養成分が含まれているため、捨てずに食材として使いましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾