Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

一度溶けたアイスクリームは細菌繁殖の可能性も 意外に知らない賞味期限や再冷凍のリスク

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

なめらかなアイスクリーム(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
なめらかなアイスクリーム(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 気温が上昇し、冷たいものがおいしい季節になりました。家の冷凍庫にアイスクリームをたくさん買い置きしている人もいるでしょう。すぐに食べるならあまり気にすることはないですが、アイスクリームの賞味期限はどのくらいなのでしょうか。また、うっかり溶けてしまったものを再冷凍してもおいしく食べられるのか、迷うこともあります。5月9日は「アイスクリームの日」。記念日にちなみ、アイスクリームにまつわる素朴な疑問について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

アイスクリームには賞味期限がない?

 そもそも賞味期限とは、未開封の状態で決められた方法で保存した場合、おいしさや安全性といった品質が保たれる期限のことです。期限を過ぎたら食べられなくなるとは限りませんが、味が劣化している可能性があります。

 この賞味期限を表示しなくて良いとされる食品のひとつが、アイスクリーム類です。マイナス18度以下で冷凍状態にあるので、微生物がほとんど繁殖せず、品質劣化も少ないためです。温度管理をしっかりと行えば、長期間の保存が可能と考えられています。

 つまり、適切な温度で保存されていれば、10年前のアイスクリームでも食べられるということです。ただし、賞味期限が記されていないからといって、おいしさがずっと保たれているわけではありません。保存状態によっては未開封でも劣化していることがあるので、おすすめできません。

温度変化が激しい家庭の冷凍庫では劣化することも

 とくに家庭の冷凍庫は、扉の開閉による温度変化があり、味が変わることもあります。未開封でも、パッケージに霜がついている、袋が膨らんでいるなどあれば、風味が落ちている可能性が。

 また、いつものなめらかさがなく、シャリシャリした食感になっていた場合は、なんらかの原因で一度溶けてしまった可能性があり、品質が劣化していると考えられます。

ドロドロに溶けて放置したアイスクリームを食べてはいけない

 一般的に、アイスクリームは乳製品をはじめ、砂糖、卵黄、水、香料などの原材料をバランス良く混ぜ合わせることで、なめらかな食感を出しています。いったん溶けてしまうと分離してしまい、再冷凍しても元のおいしさには戻りません。

 うっかり冷凍庫にしまい忘れた、または炎天下のアウトドアや車の中に放置してしまったなど、気づいたときにはドロドロに溶けていた場合、品質の変化だけでなく、細菌が増殖しているリスクもあります。しばらく放置して、完全に溶けてしまったものは食べないでください。

 最近は、賞味期限が記されたアイスクリームもあります。家庭でも適切な保存をしっかりと心がけ、できるだけ早めに食べ切るのがおいしく味わうポイントです。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾