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単に「おしっこが近いだけ」と侮ってはいけない 更年期女性に多い頻尿の原因と対策

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:頴川 博芸

外出先で何度もトイレに…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
外出先で何度もトイレに…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 気温が上がり、外出が気持ちの良い季節になってきました。しかし「最近トイレが近くて、出かけるのが億劫」と感じている人もいるかもしれません。尿トラブルというと、高齢者の症状というイメージがありますが、40~50代女性にも多いそう。とくに何度もトイレに行きたくなる頻尿は、単に「おしっこが近いだけ」と安易に考えていると、ほかの病気が潜んでいる可能性もあるようです。浅草橋西口クリニックMo院長の頴川博芸(えがわ・ひろき)医師に、女性と頻尿について伺いました。

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頻尿とは? 40~50代女性に多い過活動膀胱

 頻尿とは一般的に、1日に8回以上、あるいは就寝時に2回以上の排尿がある状態を指します。たとえば、日中に10回トイレに行く状態は頻尿といえるでしょう。

 トイレが近くなる主な原因として、「膀胱炎」が挙げられます。女性に多い泌尿器系のトラブルのひとつで、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。この炎症が膀胱を過敏にして、少ない尿量でも頻繁に尿意を感じるようになります。

 ただし、40代以降の女性の場合、一般的には膀胱炎よりも「過活動膀胱」の割合が増える傾向にあります。過活動膀胱とは、急に強い尿意が起こり、頻尿や尿失禁をきたすのが特徴です。

 これには主に、加齢やストレス、女性ホルモンの減少などに伴い、排尿に関係する神経系の乱れ、膀胱を支える骨盤底筋の衰え、尿道や膀胱の粘膜の萎縮によって起こる過敏性などが関係していると考えられます。膀胱に十分な尿がたまっていないのに膀胱が収縮してしまい、頻繁にトイレへ行きたくなってしまうのです。

ほかの病気が隠れているサインの可能性も

 このほか女性の頻尿の場合、婦人科系の病気が関係している可能性も考えられるでしょう。子宮筋腫など、子宮にできた良性の腫瘍が膀胱を圧迫し、頻尿を引き起こすことがあります。筋腫の大きさや位置によっては、排尿困難や残尿感が生じることが。卵巣腫瘍などが膀胱を圧迫し、頻尿を引き起こすこともまれにあります。

 また、糖尿病になると血中の余分な糖分が尿中に排出されるため、尿量が増え、結果的に頻尿になることもあります。さらに病状が進むと、膀胱に十分な尿がたまっていないのに尿意を感じることも。これは、膀胱の機能をコントロールする神経が影響を受けるためです。膀胱のコントロールでいうと、脳卒中やパーキンソン病など、脳や脊髄の病気のために効かなくなるケースもあります。

 とくに体に問題がなくても、会議中や試験前など、特定の状況下で悪化する心因性の頻尿も考えられるでしょう。

 このように、なんらかのトラブルが隠れている可能性があります。単にトイレの回数が増えるだけと安易に考えていると、結果として生活の質を大きく損なうことにもつながりかねません。医療機関を受診して原因を特定し、医師の指導のもと、適切な対処法を行ってください。