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タコさんウインナーでおなじみの「赤ウインナー」 昭和の原料は肉ではなかった? ソーセージとの違いなど栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

昭和世代をはじめ、子どもの頃に食べたお弁当のおかずといえば、タコさんの形をした赤ウインナー。そんな懐かしい記憶がある人も多いでしょう。ウインナーというと、一般的には肉で作られているイメージがありますが、昭和の赤ウインナーの多くが、そうではなかったそう。意外に知らない身近なウインナーについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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昔ながらの赤ウインナー
現在のウインナーは豚肉や鶏肉が使われているのに対し、昔の赤ウインナーは、スケソウダラやタチウオをすり身にした、魚肉を主原料にしているものが多かったようです。もちろん、商品によっては肉を使用している赤ウインナーもありますが、昭和の頃にお弁当のおかずで食べていた赤ウインナーの多くは、魚肉ソーセージに近いタイプといえます。通常のウインナーと比べて、あっさりした味わいが特徴です。
良質な素材を使用することが難しかった昭和中期に考案されたもので、赤い色は色味を良く見せるための工夫だったと伝えられています。切り込みを入れて焼けばタコやカニのような形に変身し、お弁当に入れると存在感たっぷりのおかずに。昭和に限らず、今もお弁当の彩りを考えて活用している人は多いでしょう。
とはいえ、この鮮やかな赤色から「体に悪そう」との印象を持つかもしれません。着色や、保存性を高めるための添加物が使われていることもありますが、安全性が確認されたものなので、適量であれば問題ないとされています。気になる場合は、植物由来の色素で赤く色づけされたものを選ぶと安心です。
ウインナーはソーセージの一種
ちなみに、ウインナーと似ている言葉に「ソーセージ」があります。何が違うか気になるかもしれませんが、ウインナーはソーセージの一種で、正式名称は「ウインナーソーセージ」です。
ソーセージとは「腸に詰めたもの」を指します。本来は、塩漬けした肉をひき肉状にたたき、スパイスなどと混ぜ合わせて、ケーシリングと呼ばれる牛や豚、羊の腸に詰めて、加熱または燻煙したもの。先人たちが生み出した保存食のひとつです。現在、コラーゲンなどが使われた、人工のケーシングも存在します。
日本では、ケーシングの種類と太さによって、ソーセージの名前が変わります。JAS(日本農林規格)によると、羊の腸(または20ミリ未満の人工ケーシング)を使用したものがウインナーソーセージです。
このほか、豚の腸(または20~36ミリ未満の人工ケーシリング)を使ったものを「フランクフルトソーセージ」、牛の腸(36ミリ以上の人工ケーシリング)を使ったものを「ボロニアソーセージ」といいます。なお、「魚肉ソーセージ」はこうした分類に含まれません。魚のすり身をソーセージ風に加工した「魚肉ねり製品」として扱われています。
数あるソーセージのなかでも、日本では赤ウインナーをはじめ、ウインナーソーセージになじみがある人が多いでしょう。懐かしのタコさんウインナーを大人になってからも楽しむ際は、とくに塩分過多に注意してください。お弁当のおかずに1~2本食べる程度であれば問題ありませんが、食べすぎないように気をつけましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾