Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

炊飯器で保温したごはんが黄色くなるのはなぜ? 高温多湿の時期に気をつけたい保存のポイントとは 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

炊飯器の中のごはん(写真はイメージ)【写真:写AC】
炊飯器の中のごはん(写真はイメージ)【写真:写AC】

 ごはんを多めに炊いて、炊飯器で保温している人もいるでしょう。便利な機能ですが、どのくらいの時間まで保温可能なのか、迷ったことはありませんか。とくに、これから気温が上がってくる時期に、保温中のごはんが腐ることはあるのでしょうか。炊飯器でのごはんの保温について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

炊き立てのおいしさを味わうには、4~5時間が目安

 炊飯器の種類によって多少の違いはありますが、一般的に炊き上がったごはんを保温できる時間は12~24時間とされています。炊飯器の保温機能は、細菌の繁殖を抑え劣化しにくい温度に設定されているため、説明書に記載されている保温時間の目安内であれば、ごはんが悪くなる心配は基本的にはありません。

 ただし保温時間が長くなるほど、ごはんの水分が減り、味が落ちていきます。炊き立てのおいしさを楽しみたいのであれば、4~5時間を目安に食べ切るようにすると良いでしょう。

 説明書にある目安の時間よりも、長く保温することは避けてください。ごはんの品質が落ちるだけでなく、食中毒のリスクが高まることがあります。高温多湿となる季節は、雑菌が繁殖しやすい環境となるので注意が必要です。

長時間の保温以外に炊飯器でやってはいけないこと

 長時間、炊飯器にごはんを保温しておく以外にも、やってはいけないこととして、次の3つが挙げられます。

○しゃもじを入れたまま保温しない

 ごはんをよそったしゃもじを、内釜の中に入れたまま保温するのはNG行為です。使ったしゃもじの取手には、手から雑菌が移っている可能性があり、炊飯器のなかに菌を入れてしまうことになります。しゃもじは外に置いてください。

○おこわや炊き込みごはんを保温しない

 炊飯器で、おこわや炊き込みごはんを作る方もいるかもしれません。しかし多くの炊飯器では、この場合、保温機能を使うことを推奨していません。調味料を使っているので、長く炊飯器の中に入れておくと、においが本体内部に移ってしまったり、塩分を含んだ水蒸気で、金属やパッキンが傷んだりすることもあります。具材に含まれる水分でごはんが腐敗する可能性もあるので注意しましょう。

○電源を切った炊飯器内で長時間ごはんを放置しない

 電気代を節約するために、電源を切った炊飯器でごはんを長時間保存しないでください。保温機能とは、保温に適した温度で雑菌や結露を防ぐ働きをするものです。電源を切ってしまうと、この働きはなくなり、ごはんの腐敗や結露を起こしやすくなります。とくに室温が高い時期は、腐敗リスクが高まるのでやめましょう。

すぐに食べないときは保温より冷凍保存を

 炊飯器で保温していたごはんが黄色くなったり、においが出たりした経験もあるかもしれません。ごはんが黄色くなるのは、ごはんに含まれる糖とアミノ酸が反応して褐色物質が発生する「メイラード反応」と呼ばれる現象です。一方、ごはんがにおうのは、ごはんの酸化や劣化、菌の繁殖が考えられます。

 高温多湿になるこれからの季節は、すぐにごはんを食べ切れない場合、保温機能で炊飯器に入れっぱなしにするよりも、冷凍保存することをおすすめします。電子レンジ使用可能のごはん専用の冷凍保存容器もありますが、ラップで保存するのが手軽です。

 ごはんがまだ温かいうちに、1食分をラップの上に平らにのせて、ぴっちり包み、粗熱が取れたら冷凍庫で保存しましょう。食べる際は自然解凍せず、電子レンジの温めモードで加熱を。加熱途中にほぐしたり、上下を変えて置き直したりするとムラなく加熱することができます。

 炊飯器は、内釜はもちろん、内ぶたも使ったらその都度洗うのが基本です。汚れが残っていると、保温中に雑菌が繁殖しやすくなります。清潔に保つことを心がけてください。

(Hint-Pot編集部)