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農家に転身した矢先に疫病で全滅「一からのやり直し」 本場ニュージーランド“キウイの聖地”、夫婦の逆転人生

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著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・吉原 知也

「問題が発生すると、みんなで協力して、助け合って解決します」

ニュージーランド“キウイの聖地”は壮観【写真:Hint-Pot編集部】
ニュージーランド“キウイの聖地”は壮観【写真:Hint-Pot編集部】

 夫婦は農家でありながら、ゼスプリの一員でもあります。同社の株主は、約2800人のキウイフルーツ生産者です。収穫後のキウイは、残留農薬などの厳格な検査、徹底した品質管理の下で糖度やサイズをチェックして箱詰めと貯蔵、主に船舶での輸出、輸入国に到着後に食べ頃になるように熟度をさらに調整。多くの工程を経て食卓に届きます。最も重要な栽培を担うティムさん・リンダさん夫婦は、自信と誇りをもって日々、栽培に向き合っています。

 順風満帆の夫婦にはつらい過去があります。ニュージーランド全土を震撼(しんかん)させたキウイフルーツの病気「かいよう病」の発生です。ちょうど農家に転身して農園をスタートさせた10年に病気がまん延。当時あったゴールドの品種が全滅してしまったそうです。出端をくじかれた夫婦はショックに見舞われました。「一からのやり直しでした。それは大変なことでした」。他の農家も大打撃を受けましたが、「私たちはゼスプリファミリーです。問題が発生すると、みんなで協力して、助け合って解決します」。政府による助成金の支援を受けるなどし、奮起して畑を復活させました。現在は、病気への耐性の強い新たな品種が主流になっているそうです。

 キウイ栽培においては、恵みとなる天候と自然が、時にやっかいなものになります。春に霜が降りてしまうとうまく育ちません。シカが木の幹をかじってしまうと、ダメになってしまいます。外国から入ってくる土や幼虫、細菌といった島国特有のリスクに対するバイオ・セキュリティーにも目を光らせています。

 困難と絶望を乗り越えて、今があります。ドライフルーツのキウイを混ぜたサラダや名物のラム肉、ルビーレッドを交えたみずみずしい3種類のキウイなど、ぜいたくランチを囲み、夫婦は笑顔満点。今年のキウイの出来はどうでしょうか。リンダさんは「すごくよく育ったわ。大きくて甘いので皆さんにおいしいキウイが届けられることができるわ」と充実の表情。夫婦は「私たち自身もキウイの消費者なので、特に安全面に気を払っています。日本に輸出されるキウイは、不純物ゼロ、害虫ゼロを心がけています。よりおいしいキウイを食べていただければ」と力を込めました。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・吉原 知也)