からだ・美容
更年期に感じやすい体の「むくみ」 気になるときに取り入れたい身近な食材とは 国際中医薬膳師が解説
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なんとなく体が重い、夕方になると足がパンパンになって靴がきついと感じる――そんな「むくみ」が、年齢とともに増えてきたと感じる人も多いのではないでしょうか。更年期の女性の元気をサポートする、国際中医薬膳師のかみむら佳子さんによる連載。今回は中医学を基に、むくみの緩和に役立ち、家計にも優しい食材を紹介します。
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更年期にありがちな「脾」と「腎」の疲労
更年期に差しかかる頃から、女性ホルモンのバランスがゆるやかに変化し、体のあちこちに不調のサインが現れやすくなるといわれています。むくみもそのひとつです。
中医学では、胃腸の働きを担う「脾(ひ)」が食べ物を消化し、栄養や水分を全身に届けると考えます。この「脾」が弱ると、体内の水分処理がうまくいかず、むくみやすくなるのです。また、体に溜まった余分な水分を排出する「腎(じん)」も、年齢とともに機能が落ちていきます。更年期は「脾」と「腎」のどちらも疲れやすく、パワーダウンしやすい傾向に。そのため、体内に水が溜まりやすく、むくみやだるさを感じやすくなります。
さらに、梅雨は「湿邪(しつじゃ)」という湿気の邪気が体に入りやすく、水分代謝や消化機能を妨げる時期。その結果、むくみが頻繁に起こり、体が重くだるく、気分まで沈みがちになります。
イメージしにくい「湿邪」ですが、「濡れたTシャツを着ている状態」を思い浮かべるといいでしょう。乾いた服なら軽く快適に動けますが、濡れていると重く、体にまとわりついて不快に。「湿邪」もまさに「心身に湿気が溜ったような状態」で、だるさやむくみ、頭がぼんやりとすっきりしない感じ、気分の落ち込みなどを引き起こします。
“湿気った体”をモヤシがリセット

こうしたとき、薬膳の知恵から食卓に取り入れてほしいのがモヤシです。中医学では、モヤシには「利湿(りしつ)」という、体の余分な水分を外に出す作用があり、むくみ対策に役立つといわれています。とくに、元気が出ずパワー不足を感じやすい更年期の人には、一般的な緑豆モヤシよりも大豆モヤシがおすすめです。
大豆には元気の源である「気」を補ってくれる力があり、女性ホルモンに似た働きが期待できるイソフラボンも含まれています。ホットフラッシュやイライラなど、更年期特有の不調にも心強い味方です。
つまり、大豆モヤシはむくみの原因となる「湿」を追い出しながら、弱りがちな「脾」や「腎」もサポートします。更年期の心と体を整える“救世主”のような食材といえるでしょう。
最近は、袋のまま電子レンジで加熱できる大豆モヤシも販売されているので便利です。加熱後、熱いうちに塩、砂糖、しょうゆで味を調え、ゴマ油と和えます。黒ゴマを加えれば、健康や若々しさをサポートする効果も期待でき、更年期にぴったりな簡単ナムルの完成です。
病気ではないけれど、ちょっとした体の不調を身近な食材で整えられるのが、薬膳のいいところです。「最近むくみやすくなったかも……」と思ったらモヤシ全般を、さらに元気が欲しい場合は大豆モヤシを食事に取り入れて、“湿気った体”をリセットしてみてはいかがでしょうか。
(かみむら 佳子)
かみむら 佳子(かみむら・けいこ)
大学卒業後、ハウスメーカーの営業職にて勤務後、28歳でフードコーディネータースクールに通い、アシスタントを経て独立。35歳で第2子流産後に続いた体調不良をきっかけに、薬膳を学び始める。「あなたスタイル薬膳RKazen」を主宰し、身近な食材で手軽に養生を実践する簡単薬膳や中医学の指導、セミナーなどで活動中。