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麦茶のつぎ足しは危険! 食中毒リスクを高める3つのNGとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

暑い季節の定番の飲み物のひとつ麦茶(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
暑い季節の定番の飲み物のひとつ麦茶(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 気温が上昇し、冷たい麦茶を常備し飲んでいる人もいるでしょう。ペットボトル入りもありますが、自宅で作ったほうが経済的です。ただし、うっかり作り方を間違えると、食中毒のリスクも。自家製麦茶に潜む危険や正しい作り方について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

穀物が原料の麦茶は、細菌もエサとして好む

 麦茶は、ナトリウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルを多く含みます。汗をかきやすい季節の飲み物としておすすめです。また抗酸化作用に優れた多くの種類のポリフェノールを含み、健康をサポートしてくれます。

 独特の香ばしい香りは「アルキルピラジン類」という成分で、血液をサラサラにする効果が注目を集めています。ノンカフェインなので、幅広い年代層で飲みやすいでしょう。

 麦茶の原料は、茶葉ではなく「大麦」を焙煎したものです。穀物の一つで、炭水化物が多く含まれています。

 炭水化物は細菌のエサになりやすく、家庭で麦茶を作る際は、菌の増殖を防ぐなどの注意が必要です。とくに気温が上がってくるこれからの季節は、食中毒のリスクも高まってきます。

自家製の麦茶作りで気をつけたいこと

 家庭で麦茶を作る際に、次の3つに気をつけましょう。

○煮出して作った麦茶を常温で冷まさない
 やかんや鍋などで煮出した麦茶を、そのまま放置して常温で冷ますのは、細菌が繁殖する原因になります。菌の多くは20~40度の範囲で活発に増殖するといわれます。菌を増やさないためには、菌にとって快適な温度をできるだけ短くすることが重要です。たとえば、氷水が入ったボウルや大きめのフライパンに、麦茶が入ったやかんごと入れると、一気に粗熱が取れます。大きめの保冷剤の上にのせて冷ますのも良いでしょう。急冷して粗熱が取れたら、清潔な容器に移して冷蔵保存してください。

○パックを入れっぱなしにしない
 麦茶を作るとき、パックを入れたまま放置することはやめましょう。長時間浸けっぱなしにすると、雑菌が繁殖しやすくなります。パッケージに記載されている時間を守り、抽出後は速やかにパックを取り出しましょう。水出しの麦茶の場合も、同様です。

○新たな麦茶をつぎ足さない
 煮出して新たに作った麦茶を、前に作った冷蔵保存中の麦茶の容器につぎ足すのはNGです。水出しの場合も、残量が少なくなった麦茶の容器でつぎ足すように作らないでください。鮮度や衛生面の管理が難しくなります。自家製の麦茶は2~3日を目安に飲み切りましょう。空になった容器は都度、よく洗浄しておきます。

 煮出しでも水出しでも、保存する容器に傷が付いていると、汚れが傷の付いた箇所に付着して菌が繁殖する原因になります。プラスチック製は扱いやすいですが、傷がつきやすいことがあります。清潔さを長く保ちたいのであれば、傷が付きにくいガラス製の容器がおすすめです。

 自家製の麦茶をマイボトルに入れて持ち歩くときは、しっかりと冷やした作り立ての麦茶を入れることをおすすめします。冷たい状態を保つために、氷を入れるのも効果的です。長時間入れたままにせず、早めに飲み切りましょう。

 適切な作り方や保存方法を押さえて、ミネラル豊富な麦茶を暑い季節の水分補給においしく取り入れましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾