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「ごくまれに“やっぱりダメだった”」も 外国人観光客が日本食を“冒険” 人気動画を生むチャレンジとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ドイツ人が日本の新鮮な魚介で魚嫌いを克服し「新しい世界が開けたよ!」と歓喜【写真提供:日本食冒険記】
ドイツ人が日本の新鮮な魚介で魚嫌いを克服し「新しい世界が開けたよ!」と歓喜【写真提供:日本食冒険記】

 世界で、いまや憧れの人気観光地になった日本には多くの人が訪れています。そんな外国人観光客に日本食を体験してもらいながら、日本の印象や驚いたことをインタビューしているYouTubeチャンネル「日本食冒険記Tokyo Food Adventures」(以下、「日本食冒険記」)。「Hint-Pot」編集部は、チャンネル開設から8年、登録者数55万人に成長させた運営者のDaisukeさんにインタビュー。後編では、多くの訪日外国人に接するなかで感じる変化や、番組の強みなどについてお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

増えた外国人観光客と日本への理解

 観光庁の発表によると、訪日外客数は2016年に2403万9700人と、統計以来初めて2000万人超え。コロナ禍の落ち込みはあったものの、2024年は3687万148人と大幅に伸びています。

「外国人観光客が増えたのは、やはり感じます。チャンネルを始めた当初は、渋谷へ行けば外国人がちらほらいる……といった状態から、ずいぶん変わりました。絶対量が増えて、それこそ渋谷なんか今は半数以上が外国人なんじゃないかってくらいですし(笑)」

 円安傾向が追い風となり、日本を訪れる外国人観光客はますます増えています。それに伴い、ガイドブックだけではないリアルな日本の情報を発信する、口コミサイトなども海外で増加。Daisukeさんも外国人観光客たちと話すなか、「文化やマナーなど、日本への理解が高まっている印象はありますね」と、彼らの日本に対する解像度が上がっていることを実感しています。

 また、世界的な日本食ブームも、外国人の意識や行動に変化をもたらしているようです。

「日本食レストランが増えるなど日本食が流行している影響で、海外では『箸が使えるのがかっこいい』みたいな感覚が広がっているようです。きちんと箸を使える外国人が、格段に増えましたね」

「せっかく日本に来たから食べてみたい」

 日本食に対しての認知や理解が拡大しても、実際に“本場”で食べてみると、やはり驚きや感動があるようです。ゲストたちの興奮する表情やコメントから、日本食の魅力を改めて感じることもしばしば。とはいえ、そうした驚きを生む食材や料理は、裏を返せば彼らにとって「食べ慣れていないもの」でもあります。

「出演交渉をする際に、アレルギーや食べられないものを確認して、どういったものを食べてもらうか提案します。肉系ははずれがないのですが、人によっては『魚が苦手だけれど、せっかく日本に来たから食べてみたい』と、チャレンジを希望されることも。しっかり話し合って決めますが、ごくまれに“やっぱりダメだった”ということがゼロではありません」

 そういったケースはありますが、ゲストの希望を叶えることを優先するDaisukeさん。やはり「初めて口にする料理に感激してもらえるのは、うれしいですから」と、笑顔で話します。

 そうしてゲストをもてなすDaisukeさんが大切にしているのは、リラックスして食事を楽しんでもらうこと。日本の食文化を知ってもらううえで、食事の前におしぼりを使う説明など、日本のマナーを教える場面もありますが、基本的にはおいしく楽しんでもらうことを優先しています。

「『器を持ち上げたほうが食べやすいよ』など、マナーというよりも、おいしく食べてもらうためのアドバイスはします。文化の違う国では、マナーそのものが違いますし、逆に日本人が海外へ行ったときに、行儀の悪い食べ方をしているかもしれないですしね」