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「買い物をする制服警察官を見かけるかもしれません」と理解を求めるのは普通のこと? 日本人がアメリカで価値観の違いを感じた瞬間とは

公開日:  /  更新日:

著者:ユキ

ニューヨークの救急車【写真:Getty Images】
ニューヨークの救急車【写真:Getty Images】

 アメリカで、制服姿の公務員が街中で食事を買う姿は、とくに珍しくありません。日本ではどうでしょうか。妻の海外赴任に伴い、アメリカ・ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第25回は、公務員や医療スタッフ、メディア関係者などをめぐる日米の感覚の違いについてです。

 ◇ ◇ ◇

救急車から降りてランチを購入

 ニューヨークの街角で見かけた光景です。救急車が交差点の先から向かってきて、手前の道路に停車しました。中からスタッフが降りてきます。

 道路脇にはハラル料理をメインにしたフードトラックがあり、スタッフはそこで食事をテイクアウトすると、また救急車に乗り込んで去っていきました。

 サイレンは鳴っておらず、病人を運搬しているわけではなかったのでしょう。お昼時だったので、ランチを買っていったのかもしれません。

 また、あるとき健康診断で引っかかったので、MRIの検査を受ける必要があり、指定された病院へ向かいました。土曜日だったためか病院は閑散としていて、あまり患者さんもいない様子。

 受付を済ませて待合室にいると、パーカーを着た小柄な女性が出てきて、検査装置の前に案内されます。その女性が看護師さんだったのです。随分ラフな格好をしているなと思いましたが、指示は手際良く、検査も問題もなく終了しました。

 職業のイメージがあるからでしょうか。こういった光景に、どことなく違和感があったのを覚えています。

相手がどう感じるかを考える気遣い

 先日、山梨県警の公式Xアカウントが「買い物をする制服警察官を見かけるかもしれませんが、ご理解をお願いします」というアナウンスを投稿したところ、大きな反響があったというのを、日本のネットニュースで知りました。

 コメント欄には批判的な意見もあったものの、「警察官が制服で買い物をしてくれると安心です」といった好意的なものが多かったとのことです。

 こういうアナウンスは、ニューヨークでは流れないのではないかなと思います。

 日本でも、アメリカでも、プロフェッショナルな人はプロフェッショナルな仕事をするでしょう。しかし、その仕事と直接関係ないことに対して、どういった反応が起こるのかに違いがあるのではないかと、興味深く思いました。

 山梨県警がアナウンスしたのは、職員に対する気遣いだけでなく、一般の人を驚かせないようにするための配慮なのだと思います。相手の気持ちを慮る。そういった心遣いがあるのが、日本の良いところではないでしょうか。

 ちなみに、朝はニューヨークの地域情報に特化したニュース番組をいつも観ているのですが、そのメインキャスターが、とにかくよく休みを取ります。そのときは、代わりのキャスターが出てきて「今日、彼は有給休暇を楽しんでいます」と冒頭で伝えます。

 そもそも、メインキャスターが頻繁に休暇を取ることも、日本ではあまりないですが、こういうところもなかなか違うなと感じます。

(ユキ)

ユキ(ゆき)

都内の出版社で編集者として働いていたが、2022年に妻の海外赴任に帯同し、渡米。駐在員の夫、「駐夫」となる。現在はニューヨークに在住し、編集者、学生、主夫と三足のわらじを履いた生活を送っている。お酒をこよなく愛しており、バーめぐりが趣味。目下の悩みは、良いサウナが見つからないこと。マンハッタン中を探してみたものの、日本の水準を満たすところがなく、一時帰国の際にサウナへ行くのを楽しみにしている。