話題
子どもが体育の授業で「公開処刑」 “できるまで座らせない”指導に母親が怒り 「全く理解出来ない」
公開日: / 更新日:

学校の授業には、誰しも科目によって得意不得意があるものです。とりわけ、クラスメートみんなの前で行う体育や音楽の授業には、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。自閉症を持つ小学校1年生の息子が、体育の授業で1人だけ残って発表させられたことに、「公開処刑」と怒りをあらわにした母親の投稿がネット上で話題を呼んでいます。投稿者の女性に詳しい話を聞きました。
◇ ◇ ◇
縄跳びが跳べない子だけを座らせず、できるまで立たせる指導に「公開処刑」と怒り
「息子が1年生の体育で公開処刑されてた事が判明。
大の苦手な縄跳びが跳べなくて、誰にも助けを求められずにずっと座れなかったらしい。一人だけ。
お願いだから公開処刑スタイルやめて欲しい。OT再開はするけど、基本縄跳びの日は体育休ませてようと思う。自尊心傷つけるってなぜわからない?」
今月19日にSNS上に投稿された、小学校での体育の指導法を巡る苦情。投稿にあるOTとは、作業療法士(Occupational Therapist)と呼ばれる障がい者向けのリハビリテーション専門職の略で、投稿者の息子は定期的にカウンセリングを受けているそう。続く投稿では「そりゃあ体育嫌だって朝から泣くわな。出来たら座る、できなければ座れないっていうスタイルを取る事が全く理解出来ない。子供にとって害でしかないですよ。お陰様でトラウマになりました」と我が子が負った心の痛みについてつづっています。
関東在住の30代女性で、医療機関で管理職として働きながら7歳の息子と1歳の娘を育てているという投稿者。息子は自閉スペクトラム症(ASD)および発達性協調運動障害(DCD)の診断があり、現在は特別支援学級・情緒級に在籍、日々本人の特性に応じた学びを受けているといいます。
「ASDおよびDCDの特性があることは、当然入学前にも入学後にも学校側に説明しています。体を動かすことが苦手な旨も伝えておりましたが、やはり体育の授業で嫌な思いをすることが多く、去年の秋ころから『学校へ行きたくない』と言う機会が増えてきました。学校とは何度も連携を取り合いながら対応してきましたが、縄跳びの授業が始まってからは明らかに行き渋りがひどくなり、学校だけでなく教育委員会にも掛け合って対応していたところ、交流級の体育の授業で息子だけが座れなかった状況があったことが分かりました」
体を動かすことに苦手さを感じながら、クラスの中での「できて当たり前」という無言の圧力や、本人の努力だけではどうにもならない状況に戸惑い、つらい思いをしていたそう。周囲に助けを求められないのも息子の特性の一つで、特に体育のような見た目にわかりやすく差が出る活動では、周囲の無理解や過度な期待が、子どもにとって強いストレスになることがあるといいます。
投稿は1万件を超えるリポスト、9.7万件もの“いいね”を集めるなど話題に。「お子さんの気持ちを考えると涙が出そう」「教師による無自覚なイジメ」「流石に障害を持ったお子さんが最後1人になるまで座らせないのはちょっと対応としてどうかなと思います」「やり方が昭和」「こんなん子供の自尊心傷つけて、体育嫌いの子増やしてるだけだろ」といった共感の声が上がっています。一方で、投稿者の息子に自閉症があるという前後関係が見えないままに、「できるようになるまで家で練習させればいい」「甘やかせ過ぎ」「できないことから逃げてたら逃げグセがつく」といった声も。一部からは心ない言葉が寄せられています。
一連の反響について、「正直驚いています。普段は発達障害のフォロワーさん達の中でのんびりをポストしているので、ここまで炎上するとは思っていませんでした。私の親としての対応に『甘すぎる』『馬鹿親』という意見が出たことはとてもつらかったです。背景を理解しないで『今の時代の親は甘やかしすぎ』という短絡的な意見も多く散見され、日本社会の自閉症やDCDという障がいに対する理解の低さも感じました」と投稿者。
「『体育を休ませる』という判断について賛否両論あるのは理解していますが、『親の甘やかしだ』という意見には賛同しかねます」と反論したうえで、「中には心ないコメントもありましたが、それ以上に『うちの子も同じ』『自分も昔そうだった』と共感してくださる方々の声に、とても励まされました。ある意味ここまで炎上してくれたことで、少しでも社会の中でこの見えない障がいに気づく人が増えてくれるなら、今回の経験は意味のあるものになったのではと思います」と話しています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)