からだ・美容
「体温が下がった日が排卵日」は間違い? 基礎体温を測ることでわかること、わからないこと
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教えてくれた人:小松原 千暁

妊活を始めるにあたり、まず基礎体温の測定から取り組む人も多いでしょう。自分の体調を知っておくためにも記録したほうが良いといわれますが、実際のところ、基礎体温から何がわかるのでしょうか。また、毎日きちんと測定しているつもりでもつい自己流になってしまい、実は正しく測定できていないこともあるようです。基礎体温にまつわる素朴な疑問について、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんに伺いました。
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基礎体温をつけることで自分の体のリズムを知る
基礎体温とは、体が休んでいる安静時の体温のことです。本来は眠っている間の体温を指しますが、自分で測れないため、朝に目覚めて起き上がる前に測定します。月経周期が安定している場合は概ね28~32日周期で、低温期14~18日後に高温期になる2相性(そうせい)を示します。
低温期は、生理が始まってから排卵までの体温が低い期間です。卵胞刺激ホルモンの働きで卵胞が発育し、それに伴って分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)によって、子宮内膜が少しずつ厚くなっていきます。そして、低温期から高温期に変わるタイミングが排卵期で、妊娠可能な時期になります。
排卵後から次の月経までの体温が高い期間が、高温期です。排卵後に形成される黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、受精卵が着床しやすいように子宮内膜をさらに厚くし、分泌腺を活発にさせみずみずしい状態にします。妊娠が成立しない場合、黄体はしぼみ、ホルモンの分泌が減少して体温も下がり、やがて月経が始まります。
基礎体温をつけることで、自分のホルモン周期や体のリズムがわかるようになります。月経や排卵時期の予測、月経不順や妊娠など、自分の体内で起こっている変化が読み取れるようになり、体調管理に役立ちます。
基礎体温グラフの“ガタガタ”は気にしなくてOK?
基礎体温の見本としてよく用いられるグラフが、低温期と高温期の2相性がきれいな線で描かれていることが多いため、実際に基礎体温をつけてみて「私の基礎体温はなんてガタガタなグラフなんだろう」と悩む人がいるかもしれません。人の平熱は毎日同じではなく、ある程度ガタガタしているのが当たり前なので、とくに気にしなくて大丈夫です。1日ごとの体温の高低を見るのではなく、月(周期)全体で判断しましょう。
また「体温が下がった日が排卵日」といわれることがありますが、体温が下がったというよりも、グラフ化してみたら高温期の前で下がったように見えるといった表現のほうが正確かもしれません。基礎体温は、ピンポイントで排卵日が判別できものではなく、妊娠しやすい時期の目安がわかるものとしてとらえましょう。ご自身で排卵日をより正確に予測したい場合は、排卵検査薬を併用する方法もあります。
基礎体温の正しい測定の仕方とは?
温期や高温期といっても、基礎体温の差は0.3~0.5度ほどです。普通の体温計ではなく、より細かく計測できる「婦人体温計」を使いましょう。薬局で市販されています。
目覚めたら、横になったまま体温計を舌の裏の付け根に挟み、口を閉じて測定を行ってください。目が覚めたときに起き上がって動くと、体温が上がってしまい、正確な基礎体温が測定できません。体温計は枕元に置いておきましょう。
もし、先にトイレへ行ったなど動いてしまった場合は、測定をお休みしてかまいません。また、夜勤などがあって不規則な場合は朝にこだわらず、4時間程度まとまった睡眠を取ったあとに測定します。
基礎体温は体温の微妙な差を測るものなので、その日の気温や測り方などでも変動します。測れない日があっても問題ないです。あまり神経質にならず、可能な日から測ってみようという思いで続けてみてください。取り組んでみて、高温期がない、低温期と比べて短い・長いなど気になることがあれば、不妊治療施設または婦人科に相談しましょう。
(Hint-Pot編集部)