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“プレ妊活”の第一歩 婦人科系疾患や性感染症の早期発見にも 今の自分を知るブライダルチェックとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:小松原 千暁

ブライダルチェックのメリットとは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
ブライダルチェックのメリットとは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 将来の妊娠を考えた検査として、近年「ブライダルチェック」という言葉を見聞きします。どんな検査で、いつ受けたら良いのでしょうか。また、不妊検査とは何が違うのでしょうか。ブライダルチェックについて、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ブライダルチェックとは

 ブライダルチェックとは、将来の妊娠に備えて卵子の数を確認したり、妊娠や出産にまつわる病気や異常があるかどうか、健康状態を調べたりする検査です。今は予定がなくてもこの先、赤ちゃんが欲しいと望むかもしれない未来の自分のために、今の自分の体について知っておくことを目的としています。

「ブライダル」とありますが、結婚していない人も受けられます。ひとりでも、カップル同士でも受診可能です。キャリアとの兼ね合いなど、ご自身のライフプランを考えるなかで、あらかじめ自分の「妊活力」を把握する方法として利用する方も増えています。

 ブライダルチェックを受けると、日常生活では気づきにくい婦人科系の疾患、性感染症などを早期発見できるメリットがあります。自分の体と向き合い、普段の生活をどのように過ごすと良いかを知る機会になります。「結婚したらすぐに妊娠できる」とか「私は大丈夫」などと過信せず、将来のビジョンを明確にするために、ブライダルチェックを“プレ妊活”の第一歩とするのも良いでしょう。

検査内容とは? 不妊治療との違い

 ブライダルチェックを受けることができる主な医療施設には、「婦人科クリニック」「不妊治療専門クリニック」「泌尿器科クリニック」「男性クリニック」などがあります。

 受診する医療施設によって異なりますが、女性の場合は血液検査と経膣超音波検査、男性の場合は精液検査と血液検査を行うのが一般的。参考までに、女性の主な検査内容は次の通りです。

○女性のブライダルチェック 検査内容の一例
・子宮、卵巣の超音波検査
・子宮頸がん検査
・性感染症の検査
・肝・腎機能検査
・貧血検査
・糖尿病検査
・基礎ホルモン検査
 FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、PRL(プロラクチン)
・AMH(抗ミュラー管ホルモンの数値で、将来の卵子の数を推定)
・風疹抗体検査
・甲状腺機能検査

 女性は、月経1~5日目に採血、月経が始まってから14日目頃までに超音波と、1~2回来院するケースがあります。器具挿入時や採血時、一般的な検診と同じように一瞬、軽い痛みを感じることがあるかもしれませんが、痛みを強く感じる検査はほとんどありません。

 不妊検査は、目的や所要時間などで違いがあります。大きくいうと、ブライダルチェックは、将来の妊娠や出産の妨げになるような不調や疾患がないかを調べることが目的。基本的には検査が1回、結果を聞く診察が1回、計2回で完了します。

 一方、不妊検査は、妊娠しにくい原因や程度について調べることが目的です。原因の特定までに複数回の通院が必要で、時間がかかる場合もあります。

ブライダルチェックの費用はどのくらい?

 ブライダルチェックは自費診療です。医療施設や検査内容によって費用も異なりますが、おおまかには3~4万円で受けることができます。チェック項目に明確な定義がないため、施設によってさまざまなコースが設定されています。迷った場合は、医療施設に相談しましょう。

 自治体によっては近年、ブライダルチェックに助成制度を設けているケースもあるようです。それぞれお住まいの市町村の担当窓口に問い合わせて、確認してください。

(Hint-Pot編集部)

小松原 千暁(こまつばら・ちあき)

不妊症看護認定看護師、生殖医療コーディネーター、妊活支援ナース育成コーチ、日本生殖看護学会理事。不妊治療の専門クリニックに約20年間勤務した経験より、日本の性教育に妊娠する力の妊孕性(にんようせい)に関する情報が少ないことを実感。現在は生殖医療の看護師を指導する一方で、不妊治療を受ける患者さんや若い世代に向けて、自ら選択できるように妊活の正しい知識を広める活動を行う。妊活についての情報サイト「妊活の歩み方」でお役立ち情報を発信中。