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からだ・美容

高熱を出すと精子がなくなる? 妊活にまつわる疑問や誤解 専門家に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:小松原 千暁

男性の高熱が妊活に及ぼす影響とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】
男性の高熱が妊活に及ぼす影響とは(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 妊活とは、妊娠を望むカップルが妊娠に向けて行うさまざまな活動のこと。明確な定義はありませんが、排卵日を自分で予測して性交渉をする「自己タイミング」から始めるのが一般的です。妊活中にふと疑問に思うことがあっても、専門家に聞く機会がなく、そのままにしていることもあるかもしれません。たとえば、男性が高熱を出すと精子がなくなるといわれることがありますが、実際はどうなのでしょうか。妊活の正しい知識を広める活動をしている不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんに、妊活にまつわる素朴な疑問や誤解について伺いました。

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高熱が精子に与える影響、多くは一過性 注意したいのはおたふくかぜ

 看護師として約20年間、生殖医療の現場に携わり、現在も日々、妊活中のさまざまなカップルと接しています。不妊治療そのものだけではなく、意外にも日常で誤解している情報が多いことを感じることもあります。

 たとえば、インフルエンザなどで「男性が高熱を出すと精子がなくなる」といわれることがありますが、多くは一過性のものです。男性の造精機能は温度に依存し、精巣の状態は32~35度が良いといわれているので、妊活中に高熱が出ると心配されるケースが多いのかもしれません。確かに、高熱が数日続くことで精巣の温度が上昇し、精子形成へ悪影響することがありますが、1か月後には回復する方がほとんどです。

 妊活中の男性が気をつけたいのは、おたふくかぜです。思春期以降にかかると40度近い高熱が続き、重症化しやすい傾向があります。おたふくかぜの原因であるムンプスウイルスが精巣に感染し、2~3割の方が精巣に炎症を起こす「ムンプス精巣炎」になるといわれています。

 炎症によって精巣の組織が破壊され、精子を作る機能が低下してしまうのが特徴です。さらには、その数か月~1年後に精巣が萎縮することがあり、両方の精巣が萎縮してしまうと精巣機能が低下し、無精子症になるリスクも。おたふくかぜになったことがない妊活中の男性には、予防接種をおすすめします。

全裸で眠ると、男性の生殖機能が高まる?

 男性が「精子のために全裸で眠る」というケースを耳にすることがあります。前述の通り、睾丸の中にある精巣の温度は、体温より低い32~35度を保つことで精子を作る機能は高まりますが、だからと言って全裸で眠る必要はありません。

 むしろ全裸で眠ることで風邪をひいたり、体調が悪くなったりすることがあります。そのリスクを考えると、おすすめはできません。体温調節を意識し、下半身の締めつけが少ない、ゆったりとした着衣で眠ると良いでしょう。