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同級生の間違いを指摘するも「多数決で負けね」 担任の一言に絶句…「義務教育の敗北」とネット騒然
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正しいことを主張したはずのに、「多数決」により理不尽な決定を強いられたという経験はないでしょうか。小学生の頃、ザリガニの種類をめぐり科学的な事実を訴えたものの、担任教師からまさかの一言を告げられたという投稿が、ネット上で大きな反響を呼んでいます。多くの共感を呼んだこの出来事。投稿者で、現在は希少な淡水魚の養殖販売を行っている中村陽一さんに詳しい話を聞きました。
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小学校の多数決で、正しい知識が否定されたトラウマについて投稿
「小学生の頃クラス皆が小ザリをニホンザリガニと呼んでいたので、何回育ててもアメザリ化することや図鑑の分布から埼玉はあり得ないと説明したら僕以外の子達と言い合いになった。そんな時、担任が出てきて裁定を下す。『中村は生き物詳しいけど今回は多数決で負けね』と。あれは正直今でもトラウマ」
今月5日SNS上に投稿された、小学校時代のエピソード。多数決により正しい知識が否定されたトラウマについてつづった投稿は、1.2万件のリポスト、10万件もの“いいね”を集めるなど大きな話題を呼んでいます。
投稿は今から約40年前、投稿者の中村さんが小学5年生だった頃の出来事。当時、クラスメートたちは小さくて色の赤くないザリガニを「ニホンザリガニ」、大きく成熟し赤くなった個体を「アメリカザリガニ」と呼び、別々の種類だと信じていました。
しかし、幼い頃から生き物の飼育や観察が大好きで、図鑑を読みふけっていた中村さんは、その認識に疑問を持つように。図鑑で見たニホンザリガニの生態や分布域、自身の飼育経験でニホンザリガニと呼ばれていた小さな個体がアメリカザリガニに成長したことなどから、「ニホンザリガニは地元である埼玉県南部にいない」と確信したそう。その事実をクラスメートに伝えたところと、「こんな茶色のやつと真っ赤なやつが同じ種類なわけないだろう、何を馬鹿なことを言ってるんだ」と反論され、ニホンザリガニの存在を信じて疑わないクラスメートたちと言い合いになってしまいました。
これだけならほほえましいエピソードとも言えますが、そこに現れたのが担任教師。両者の言い分を聞いた担任が下した裁定は「中村は生き物詳しいけど今回は多数決で負けね」という信じがたいもので、この一言が心の奥に今も引っかかり続けていると言います。
この理不尽な体験談に、SNS上では「典型的な『多数決の誤った使い方』ですね」「民主主義の弱点を思い出した」「自然科学の分野を社会科学的な多数決で決めるのは、義務教育の敗北だと思います……」「科学や事実より和や感情で決まるのが日本人」など、教師の対応を疑問視する声が続出。「大切な学びの機会を教師が台無しに」「事実や正しいこと話しても教養が足りない人たちには通用しない」「バカな教師ほど害悪はない」といった批判的な声も相次いでいます。
何より目立ったのは、同様の経験を持つ人々からの共感の声でした。「ガリレオ・ガリレイの気持ちを味わってる小学生って結構いるよね」「私も小学生の時、クジラは海にいるから魚派のクラスメイト30人VSクジラは哺乳類派の私1人で戦って負けた経験がある」。正しいことが伝わらない“モヤモヤ”は、多くの人にとって「あるある」な経験なのかもしれません。
少年時代の探究心を貫き、中村さんは現在、日本の希少な淡水魚を増やすため、約20年前に立ち上げた会社で養殖販売の仕事を手がけています。環境省の「種の保存法」により対象の魚種の養殖が規制されるなど、大人になった今でも理不尽な出来事は続いていると語りつつ、一連の反響については「同じような経験をしている方が多いらしく、とても驚いています。生き物関係にはまだまだ多くの誤解が存在するので、このようなことをきっかけに今後も生き物に関連した発信していきたい」と話しています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)
