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パフェにのっている緑色の葉 食べないのは失礼? 実は理に適った「名脇役」だった
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教えてくれた人:和漢 歩実

冷たいデザートがおいしい季節です。カフェやレストランで、パフェを注文する機会があるかもしれません。提供されたパフェのてっぺんに、緑色のハーブが飾られていることがありますが、食べたほうが良いのかどうか迷うことも。また、食べるタイミングに決まりはあるのでしょうか。実は理に適っているほかの料理のトッピングも含め、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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ミントやセルフィーユなどの食用ハーブ
パフェにのっている緑色の葉は、一般的にミントやセルフィーユなどの食用ハーブです。単なる彩りのための飾りで食べられないと思われやすいのですが、食べられます。ただし、食べずに残しても失礼にあたるものではありません。食べるか食べないかは、好みによります。
ミントは、さわやかですっきりとした香りが特徴です。さまざまな種類がありますが、料理によく用いられるのはスペアミントとペパーミント。スペアミントのほうが、ミント特有の清涼感や刺激が穏やかです。
また、セルフィーユはセリ科の植物です。チャービルと呼ばれることもあります。ギザギザした葉が同じセリ科のイタリアンパセリと似ていますが、パセリよりマイルドで甘い香りが特徴です。ヨーロッパでは古くから、デザートに限らず、料理に使われてきたハーブです。
これらのハーブは、消化促進や整腸作用、リフレッシュ効果などが注目されています。パフェにトッピングされているミントやセルフィーユは、少量ですが、食べると口の中をさわやかにしてくれる効果が期待できるでしょう。飾りに見えますが、実は理に適った効能を持つ“名脇役”でもあります。
トッピングの葉を食べるタイミングに決まりはありませんが、口直しにリフレッシュ効果を期待するならば、途中で味わうのがおすすめです。葉はいったんはずしておき、食べ進めたところで口にしてみましょう。ハーブ独特の清涼感や香りを感じることができ、口の中がすっきりします。
単なる飾りではない「緑」の野菜
ミントやセルフィーユのように、単なる彩りや飾りの「緑」と思いきや、実は理に適っている組み合わせは、ほかにもあります。
たとえば、揚げ物にパセリ。パセリ特有の香り成分であるアピオールは、消化促進や口臭予防効果、疲労回復が期待されており、油脂を多く含む洋食料理と相性が良いです。パセリには免疫機能の維持に欠かせないβカロテンをはじめ、ビタミンB1、B2、Cなどのビタミン、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれています。
肉料理にクレソンも、よくある組み合わせです。クレソンにはシニグリンという辛味成分があり、食欲増進や脂肪の消化促進など、胃もたれの解消に役立ちます。このほかβカロテン、骨の形成に欠かせないカルシウム、骨にカルシウムを定着させるビタミンK、“造血のビタミン”と呼ばれる葉酸、鉄などのミネラルも豊富です。クレソンが添えられていたらぜひ食べましょう。
日本人に親しまれている、刺身の下に敷かれている青ジソも同様です。青ジソは見た目の彩りを添えるだけではありません。香り成分のペリルアルデヒドには、抗菌作用や防腐効果、食欲を増進させる効果があるといわれています。生の魚介類に添えるのは、食中毒予防の一環でもあるのです。また、青ジソにはβカロテンやカルシウムをはじめ、ビタミンCやビタミンB2も多く含まれています。
もちろん、パフェのハーブと同様に、苦手であれば残しても失礼にあたりません。皿や器の端によけておきましょう。もし、ただの飾りだと思って食べていなかったのならば、一度口にしてみるのも良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾