収入の差が夫婦関係に影響を与えることは、少なくありません。とくに、どちらかの収入が急激に増加した場合、それまでのバランスが崩れ、さまざまな変化が起こり得ます。昇給によって夫より年収が高くなった30代女性は、夫の態度が急に変わってしまい、戸惑っているといいます。夫婦カウンセラーが送るアドバイスとは。

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夫が「家に入ったほうがいいんじゃないか」と言い出した理由は？

　夫との関係がぎくしゃくしていて、そろそろ離婚も視野に入れなければならないかもしれないと悩んでいるのは、東京都在住の富田玲菜さん（仮名・30代）。休日になると一緒に買い物や温泉に行くなど、これまでは周囲からうらやましがられるほど、いい関係を築いてきたといいます。

　しかし、今年に入って玲菜さんが昇給すると、ふたりの関係は変化してしまいました。

「夫より私のほうが年収が多くなったんです。それを知った日から、夫の態度が激変しました」

　結婚までに3年ほど交際期間があり、夫は「仕事ができる女性が好き。結婚しても、働き続けてほしい」と言って、子どもに対してもあまり前向きではありませんでした。

　しかし、玲菜さんの年収が夫より100万円ほど上回った途端、夫は「子どもが欲しい」と言い出したそうです。

「夫に、子どもができてもしっかり働きたいから、それなら育休や保育園のことなど、しっかり話し合おうって言ったんです。そうしたら『やっぱり女性は家に入ったほうがいいんじゃない？』なんて言い出して……。タイミングがタイミングなだけに、自分より稼がれるのが嫌なだけなんじゃないかと思ってしまって……」

収入に対して柔軟な考えを持てるようサポートを

「まずは夫とじっくり話し合い、『なぜ、妻の年収が高いと嫌なのか』を尋ねてみるといいでしょう」とアドバイスを送るのは、夫婦カウンセラーの原嶋さん。玲菜さんと夫の関係において最も重要なのは、率直なコミュニケーションだといいます。

　お互いの価値観や不安を理解し合うことが、問題解決への第一歩です。また、収入差に対する考え方をすり合わせることも重要だといいます。

「玲菜さんが昇給して収入が増えたことは、素晴らしい成果です。しかし、夫は男性として、妻の収入が自分より高くなることに不安を感じているのかもしれません。この点について玲菜さんが理解を示すことで、夫の葛藤を軽減できるかもしれません。夫が柔軟な考えを持てるように、サポートすることも大切です」

　また、昇給は関係なく、夫の将来に対するビジョンが変化した可能性もあります。

「子どもを持つにしても、ふたりの理想を共有することが必要です。玲菜さんの考えを根気良く伝え、お互いに納得できる方向を見つけることが重要になります。最終的には妥協点を見つけ、互いの意見を尊重することが、関係を続けていくために不可欠です」

（和栗 恵）