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親子そろって「教育移住」が過熱するハワイ 日本人ママが「ランキング」の爆上がりを目の当たりにした教育事情とは
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かつては子どもをグローバルな人材に育てるべく、日本国内のインターナショナルスクールに通わせたり、高校や大学から子どもだけが留学するケースが主流でした。しかし、令和の新・スタンダードは、親子そろっての「教育移住」。2人の子どもをハワイで育てる、主婦ライターのi-know(いのう)さんは、昨今ハワイでも多く見られる教育移住について考察しています。第62回は「ハワイの教育移住事情」についてです。
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家族そろっての海外移住に注目が集まっている
ウェブニュースなどで最近、よく目にする教育移住というフレーズ。今年に入って、タレントのSHELLYさんが、子どもたちの教育や経験を豊かにするためオーストラリアに移住したり、タレントの優木まおみさんが、子どもたちをインターナショナルスクールに通わせるべく、マレーシアに移住したりしています。
私自身、10代の頃にオーストラリアへの留学経験がありますが、当時は子どもだけが単身で留学するケースがほとんどでした。しかし昨今は、子どもが小さいうちに、家族そろって教育移住をする、またはしたいと考えているご家庭が多いようです。
留学先として、かつてはアメリカとニュージーランドが人気でしたが、最近はシンガポールやマレーシア、フィリピンなどアジア諸国も注目を集めています。一方、ハワイに関しては、日本人一家が教育を目的に移住するケースは、それほど多くないと感じます(あくまでも私周辺のお話です)。
中国人や韓国人から教育移住地として人気に
このところ、よく目にするのは、ハワイに教育移住している中国人や韓国人のご家庭です。ある韓国人のパパさんは、「韓国に住んでいた頃から知り合いだった中国人一家がハワイに引っ越して、すごく良い教育環境だというから私たちもハワイに引っ越したんだ」と言っていました。
その韓国人一家と友人の中国人一家は同じエリアに暮らし、子どもを同じ公立小学校に通わせています。
その話を聞いたのは約2年前。そして最近、彼らが住んでいるエリアの公園へ久しぶりに遊びに行ったら、以前より韓国系・中国系ファミリーが増えていて驚きました。口コミかSNSで「このエリアが良い!」という評判が広まったのでしょうか?
ハワイは教育移住者に寛容な傾向

こういった教育移住が、東京都文京区でも起こっていると聞きます。SNSで「文京区の公立小学校は中学受験率が高い」ことから、「教育移住に適した地域」だと話題になっているのだとか。
日本では、このような教育移住に関して、焦りにも似た空気が広がっているようです。では、ここハワイではどうでしょうか?
ハワイにそのような競争的な雰囲気はあまりなく、むしろ、新しく移り住んできた家族を自然に受け入れる土壌があります。ハワイは昔から移民が多く、ロコ(地元民)といっても、何代か前にさかのぼれば先祖は移民という人が多い島。それゆえ、新移民に対して偏見を持たない人が多いです。
ロコが気にする「スクールランキング」とは
しかも、教育移住組は教育熱心なご家庭が多いので、地域の子どもたちに良い影響を与えると考えているロコも少なくありません。アメリカの多くの州では、小学3年生以上の児童を対象に州統一の学力テストを実施し、その結果を学校ごとに毎年公表しています。公表方法や内容は州によって異なりますが、成績の平均値や達成度の割合などが公式サイトで確認できます。
これをもとに民間の会社が「スクールランキング」を発表するのですが、なんと今年は、前述の教育移住組が増えた学校のランキングが爆上がり! 教育移住組のおかげ……とうっすら感じながらも、自分の子どもが通う小学校がランクアップして、喜んでいるママ友もいます。その気持ちを理解できる日本の親御さんも、多いのではないでしょうか。
この「スクールランキング」を気にしているロコはとても多く、私の周りでも、もともと通わせる予定だった近所の小学校のランキングが年々下がっていたため、ホームスクールを選んだママさんもいます。
また、子どもをランキング上位の学校に通わせようと、その学区内に住所を置く目的で実際には住んでいない家を借りて、家賃を払い続けているパパさんまでいます(笑)。
教育移住から話はそれましたが、どの国でも、子どもに少しでも良い環境を与えたいと思う親の気持ちは同じです。今後、国を超えた教育移住が、さらに当たり前の時代になっていくのかもしれません。
(i-know)
