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8歳の息子が突然「今までありがとう」→日本人ママは困惑 ハワイでの子育てが難しいと思う瞬間とは

公開日:  /  更新日:

著者:i-know

図書館の地べたに座って本を選ぶのは“あるある”【写真:i-know】
図書館の地べたに座って本を選ぶのは“あるある”【写真:i-know】

 日米ミックスカルチャーで8歳の息子さん、5歳の娘さんを育てている、46歳・主婦ライターのi-know(いのう)さん。現地の小学校に通う2人の“欧米化”が進むことで、日本人の親として理解ができない点があるそうです。第56回は「子どもがアメリカナイズされたと感じる5つのこと・ネガティブ編」。

 ◇ ◇ ◇

日本の常識やマナーを身につけてほしいと思いながらも…

 ハワイで息子と娘を育てるなかで、徹底していることが2つあります。子どもと話すときは日本語を使うこと。そして、家では日本の常識・マナーで育てることです。

 しかし、息子の義務教育が始まって4年。お友達と過ごす時間も増え、「アメリカナイズされているな~」と感じることが増えています。もちろんポジティブなことがあれば、ネガティブなことも。そこで、今回はネガティブに感じること5つを紹介します。

1. 家の床にゴミを捨てる
 お菓子の袋をちぎったときに出るゴミを、家の床に捨ててしまう。これはアメリカナイズの大きな弊害だと思います。というのも、アメリカの小学校では中休みにお菓子を食べても良いのですが、食べ終えたゴミをきちんとゴミ箱に捨てない子どもが少なくありません。

 ゴミ箱に捨てたとしても、ゴミでいっぱいになっていると、その上にフワッと乗せることで捨てた気分になっている子どもが多いようです。そのため放課後、風で吹き飛ばされたゴミが学校の至るところに散乱しているのをよく見かけます。ハワイの小学校の“日常風景”と言っても過言ではありません。

 学校でのゴミの捨て方について息子に聞いてみると「清掃員の人がキレイにするから良いんだよ」と当たり前のように言っていて、あきれました。子どもだけでなく先生や学校職員も「これは清掃員の仕事だ」という認識があるようです。 就学前に家できちんとしつけても、学校生活が長くなるにつれ周りの影響を受けてしまう問題に、今まさに直面しています。

2. 地べたに座る
 図書館の本棚の前でどれを借りようか迷っているとき、床に座って本を読み比べる。ベンチのないバス停でバスを待つ間、アスファルトや芝生の上に座る――――これらは老若男女問わず、ハワイでよく見かける光景です。

 ひとつ問題なのは、息子がこれを日本でやってしまったとき。アメリカの常識が日本では非常識になる場合があるので、両国のマナーを教える大変さを感じています。

ハワイの子どもはクロックスが大好き。それは良いとして、靴をそろえる&靴棚に入れる習慣がなく、この散らかりよう【写真:i-know】
ハワイの子どもはクロックスが大好き。それは良いとして、靴をそろえる&靴棚に入れる習慣がなく、この散らかりよう【写真:i-know】

3. クロックスのサンダルばかり履く
 過去に、クロックスのサンダルがエスカレーターに挟まってしまう事件が多発して以来、日本ではクロックスを日常的に履く子どもは少なくなったと思います。私たちが暮らすハワイの片田舎にはエスカレーターがほとんどないので(笑)、安全面では問題ありません。

 しかし、スニーカーのように足にフィットしないので、私はあまり子どもに履いてほしくないと感じています。ところが、ハワイは年中温暖ということもあってか、靴下を履かずにクロックスで公園や学校に行く子どもがたくさんいます(学校はビーチサンダルもOK)。

 周囲の影響を受けて息子もクロックスのサンダルを欲しがるので、しょうがなく学校以外では許可しています。

4. 英語の文言を、日本語に直訳して話す
ある日、息子が「いままでありがとう」と言ってきた……ように聞こえました。感謝を述べる気持ちは伝わりましたが、なぜお別れのような挨拶を? と不思議に思い、確認してみたら、何と息子が言いたかったのは「良いママでありがとう」でした。

「良いママでありがとう」なんて文言は日本では使わないので、「いままでありがとう」だと勘違いしてしまいました。しかし、これは「Thanks for being a good mom」という英語の文言からきています。アメリカ人がよく使うフレーズで「お母さん、いつもありがとう」とったニュアンスです。

 つまり、アメリカナイズしている息子はまず英語を頭に思い浮かべて、それを日本語に訳したのでした。最近、こういうことが増えて日本の母は混乱しています(笑)。

5. 映画のエンドロールを観ない
 子どもを映画館に連れて行くのは、映画好きな夫の役割。その間、私は家でのんびりさせてもらっています。ところが夏休み期間中、毎週火曜は子ども向け映画がひとり1ドル(約143円)で鑑賞できるサービスがあったので、私が子どもを連れて行くことに。

『パウ・パトロール』や『ミニオンズ』などを楽しみましたが、ストーリーが終わって、エンドロールが流れ始めると観客は一斉に出口へ。我が子たちも当たり前のように椅子から立ち上がりました。

「エンドロール、観ないの?」と聞くと、「いつも観ないよ」と息子。このときは親子間のカルチャーギャップを感じて、少し悲しくなりました……(涙)。

 以上、「子どもがアメリカナイズされたと感じる5つのこと・ネガティブ編」でした。アメリカナイズされて「かっこいい」と感じる点もありますが、ゴミの件や地べたに座るなどのマナー面は、アメリカナイズされてほしくありません。

 そういった経験を通して、バイリンガルとはただ2か国語を話せるだけでなく、2か国の文化を習得してこそ“真のバイリンガル”なのではないかと考えるようになりました。しかし、その道は険しいと日々実感しています。

(i-know)