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夏においしいミョウガ 「食べすぎると物忘れしやすくなる」って本当? 適量と健康成分を栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

爽やかな風味が特徴のミョウガ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
爽やかな風味が特徴のミョウガ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 爽やかな風味と歯ごたえのある食感で、夏の食卓を彩るミョウガ。そうめんの薬味や冷やっこのトッピングとして重宝する一方で、「ミョウガを食べると物忘れしやすくなる」との言い伝えもあります。実際のところ、どうなのでしょうか。ミョウガの適量や栄養とともに、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ミョウガの言い伝えの“真相”とは

 私たちがふだん食べているミョウガは、花ミョウガとミョウガタケの2つに分けられます。違いは部位で、花ミョウガは開花前のつぼみ、ミョウガタケは遮光して育てた若い茎(偽茎)です。一般的にミョウガといえば、花ミョウガを指します。今は栽培方法の進歩で通年出回りますが、ミョウガの旬は初夏から秋まで。ちょうど今がおいしい季節です。

「ミョウガを食べすぎると物忘れしやすい」といわれるのは、昔話や落語などによって言い伝えとして広まっていったとされ、実際には、そのような科学的な根拠はありません。どんな食品にも言えますが、栄養に優れているからといって食べすぎると、かえって体に良くない場合も。一度に大量に食べると、胃腸の不調を起こす恐れがあります。

 ミョウガの1日の適量に決まりはありませんが、香味野菜として適度に取り入れるのが良いでしょう。薬味として、おいしく感じられる2~3個が目安です。また、ミョウガに偏らず、ほかの食べ物もバランスよくとっていきましょう。

ミョウガの注目すべき栄養成分とは

 ミョウガはほとんどが水分なので、栄養がないと思われやすいのですが、実際には夏を過ごすのに役立つ栄養素や健康成分が含まれています。

○カリウム
 体内の水分バランスを調整し、高温多湿の今の時期に起こりやすいむくみの軽減や血圧のコントロールに役立ちます。汗とともに体内から失われやすいため、夏の時期には意識してとりたい栄養素です。

○アルファピネン
 ミョウガ特有の香り成分のひとつで、食欲増進や消化促進、発汗作用、血行促進などの効果が期待できます。暑さによる食欲不振をはじめ、熱がこもったり、冷房による冷えが気になったりするときに取り入れたい成分です。

○ミョウガジアール
 辛味成分のひとつで、血行を促進する作用があります。アルファピネンと同様に冷房による冷えの緩和が期待できるほか、抗菌作用や解毒作用もあるため、高温多湿の季節に役立つでしょう。

○アントシアニン
 ミョウガの赤紫色の部分に含まれる色素成分で、ポリフェノールの一種です。強い抗酸化作用をもち、活性酸素から体を守る働きがあるとされています。眼精疲労の緩和や血流改善にも関わるといわれており、夏の紫外線やパソコン作業で目が疲れがちな人にも心強い成分です。

ミョウガの保存や楽しみ方

 ミョウガは、乾燥に弱く、適切に保存しないと日持ちしません。買ってきたら、湿らせたキッチンペーパーに2~3個を一緒に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れて保存しましょう。

 生で食べる場合は、香り成分のアルファピネンが刺激性のため、口やのどに違和感が生じることがあります。気になる人は、水洗いをした後にカットしてから、水にさらしましょう。さらしすぎると香りが飛んでせっかくの効能が弱くなってしまうので、目安は10秒ほどです。

 さらしたあとは、すぐにキッチンペーパーなどで水気を取りましょう。加熱する場合は、水にさらす必要はありません。

 切り方によっても、楽しみ方が変わります。食感を楽しみたい場合は、繊維に沿って縦に千切りにすると良いでしょう。一方、香りや風味を楽しみたい場合は、根元を少し切り落として薄く輪切りにします。みじん切りにしてドレッシングにプラスすると、さわやかな風味が楽しめて、サラダにおすすめです。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾